悩みの多い民設公園制度

2006年12月20日 00時47分 | カテゴリー: まちづくり

萩山テニスコート跡地をめぐって

東京都が今年6月に導入した新たな「民設公園制度」。その第1号として名乗りを挙げている東京建物(株)が、萩山テニスコート跡地(萩山3丁目)に高層マンションと公園の整備を計画している。それに付随する都市計画の地区計画変更のための縦覧が15日に終了し、現在、意見を募集中だ。

この制度は、緑地保全、公開空地と防災避難場所の確保を目的に、都市計画公園内の制限緩和を行うことにより、民間活力の導入で市の財政支出を伴わない公園的空間を整備しようとするもの。西武鉄道が、所有していた萩山テニスコートの売却を決めたことにより、2005年に、公園化を求める市民要望の声が高まった。それに対応し、市は公有化を検討していたが、財政力不足により断念しかけていたところ、先の新制度の適用で将来的な公有化までの間のオープンスペース確保を図る計画が立てられた。
私も出席した11月21日の市主催の整備説明会によると、土地を購入した東京建物との協議の上、4.1haの面積のうち7割を公開公園、3割の部分に11階建て(当初13階計画)186戸のマンションが建設される計画が示された。
都、市、デベロッパーによる説明の後、会場に溢れんばかりの市民による多くの意見が続出した。高層マンション建設による日照や電波障害への危惧、狭隘な道路や下水道設備等のインフラ整備の不十分さなど、環境の変化に対する周辺住民の計画反対の声が多数を占めていた。

現状では、戸建住宅建設による土地の細分化か「公園つき高層マンション」かの二者択一の形が迫られているが、市は、公園用地公有化のために公募債発行やトラストなど、他に何らかの工夫の余地はなかったのだろうか。
次世代を含めあらゆる世代に対し、公園など緑地等の環境保全が必要なことは自明の理であるが、だからこのやり方が正しい、といわんばかりの行政の姿勢が住民には強行的に映るのだ。新たな制度だからこそ、そこに安心な環境を求めて暮らしてきた住民との十分な協議、話合いが必要なのだ。住民にとっては、マンションでも戸建住宅でも人口及び車の増加は避けられず、市道の拡幅を求める場合、自らの立ち退きやセットバックなど痛みを伴う決断を要されるかもしれない。まちづくりは、理念だけでは進まないことを実感させられる事例であり、悩ましく、私自身もここ1ヶ月自問自答し続けている。(大塚恵美子)
〔写真上は、萩山テニスコート跡地、下は、クラブハウスと隣接の御茶ノ水女子大学郊外農園・11月撮影〕