男社会の本音がみえる女性蔑視発言

2007年1月31日 01時42分 | カテゴリー: 女性・生き方

ついに出た「女性は子どもを産む機械」発言に思う

そう、柳沢厚生労働大臣の発言だ。このところ、お会いした方々も、「本当に呆れたわね」と憤っている。今になっていくら言い繕っても、隠し様もない実際の男の本音、そのものなのだ。「少子化の原因」を短絡的に捉え、合計特殊出生率に左右される人口推計に基づく年金や社会保障費の支え手としてしか、次世代を見られない政権政党の考え方が暴露されたということだ。
安倍政権は、教育基本法を改悪し、国に忠誠を誓う子どもを育成し、憲法を変え、戦争ができる国にしていく道をひた走る。戦士をつくるためにも、「女は子どもを産む機械」として機能してもらわなければ、ということだろう。
男女がまだまだ平等ではなく、ドメスティック・ヴァイオレンス、働く分野での間接差別の横行、格差社会、高い教育費、信頼できない公教育、改正介護保険制度による家族介護への逆シフト化、不十分な両立支援策など、あらゆる場面において、女性が子どもを産み育てたいと思うような社会環境ではないから、子どもを産むことを選択できないし、パートナーを持つことすら躊躇してしまうのだ。
子どもと共に生きることは、予期せぬことと発見の連続で、とても一筋縄ではいかない。真っ正直に向かい合わないと、子どもに見抜かれる。やっぱり、誰にも侵されないひとつの人格だと思い知らされる。だから、おもしろい、苦労だけれど、とてつもなく楽しい。知らなかったことをいっぱい気付かされる。子育ては、すてきなチャンスだ。でも、この暴言が象徴する世の中では、「女たちよ、もう子どもなんか産まなくていい」と言いたい。お国のために子どもを産むな。大臣の首を挿げ替えるだけでは解決しない根の深さを思う。

2000年12月に「女性国際戦犯法廷」が開催され、私は数日間傍聴した。20世紀の終わりに、戦時中、日本軍による性奴隷とされた従軍慰安婦への戦時性暴力を裁く民衆裁判に立ち会えたことは言葉に尽くせぬ思いがあった。朝鮮半島や中国、ビルマ、オランダなど様々な国籍の被害女性たちの語る戦争の真実、旧日本軍の兵士の発言も直に聞いた。法廷を実現させた在りし日の松井やよりさんの姿の記憶が鮮明に蘇る。
この「法廷」をドキュメンタリーで取り上げようとしたNHKへの政治的介入による番組改変に対する訴訟の判決があり、東京高等裁判所からNHKに賠償命令が出された。このことは、政治的恣意性を訴えてきた女性たちにとって大きな成果といえるが、NHKはすぐさま上告し、圧力をかけたと目される安倍総理、中川自民党政調会長は、いまだにしらを切る。これが、男社会の体質だ。女性は常に道具であり、まずくなれば、圧力で事実までも消す。なぜ、女性は、蔑視され、虐げられなくてはならないのか。この男DNAを変えるのは、まことにエネルギーが要る。女たちは、しなやかに常に前に向かわないとだめなのだ。「沈黙は、もはや選択肢ではない」イラク問題へのジェーン・フォンダの言葉だが、女性の地位の確立にも通じる言葉である。(大塚恵美子)