本町都営跡地に新たな街がうまれた

2007年2月13日 04時49分 | カテゴリー: まちづくり

「東村山市本町地区プロジェクト」の実験的住宅がお目見え

東京都の新規事業「先行まちづくりプロジェクト」の開始が、2003年10月。東村山本町地区が第1号に指定され、都営住宅の建替えでうまれた約10haの跡地に、50坪の広さをもち、市価の3割安の低価格で質の高い戸建住宅を供給する、というコンセプトの事業だ。大きな特徴は、東京都からの70年の定期借地権を活用した転借地権付の分譲住宅という点だ。公募による民間業者の選定により5つの企業グループが選ばれ、「実証実験」として第1期100戸の戸建住宅が誕生した。すべての住宅が整備されると全280戸の家が建ち並ぶちょっとした街ができることになる。

2月10日から販売が開始し、11日に立ち寄った時には、ずらりと建った住宅の前に業者のテントが張られ、住宅展示場のよう。朝10時前にも関らず、何組かの家族連れの方々が家々を見て回っている。低コスト良質を謳う「実証実験」の家々はそれぞれの事業者が健康建材や多摩産材の使用、先進テクノロジー、木組みの家など、セールスポイントをもつ。観察してみると、家と家の垣根がほとんどない。電線類が地中化され、道幅も広い。小公園用地や保育所、在宅介護支援センターの用地も南側に整備されている。商業スペースとして既にスーパー「いなげや」が外観がほぼ完成の状態。
住宅の価格は2700万円台から3400万円台までで、地代が別途かかることになる。市内には、ここ数年、果樹園や農地が宅地化され戸建住宅があちこちで建っている。多分、それらの住宅よりは低価格だし、50坪の広さはゆとりがある。ほとんどの住宅に2台分の駐車スペースが確保されていると聞いた。
でも、何だか面白みがない。南側に駐車スペース、北側にお行儀よく家が立ち並ぶパターンだ。木々が育っていないので、住宅展示場の雰囲気なのだ。統一感はなくても、人の住む家は、個性のでるもの。このまちを選んでくれた市民の夢がふくらんで、その息吹が、これから生まれ出て、新たな街へと成長するのだろうか。

ほんの数年前まで、この土地には、平屋の都営住宅が建ち並び、通りには何本もの桜が見事だった。すべてが更地となり、工事が始まり、新たな街がうまれた。私たちは新しいものを得るときに、失うものの大きさに気付くことがあるのだ。
280戸すべて入居のあかつきには、保育所や高齢者のための福祉施設のほかにも、道路事情、小中学校のキャパシティ、医療機関、駅周辺の駐輪場など、人口増を受け止めるインフラ整備が必要となる。最も不足しているのが、ソフト部分かもしれない。今の市政に、新たな市民を迎えるための準備が整っているとは言い難い面を感じてしまう。住宅政策が無策に近いこの国で、いくら3割安いといっても、とてつもなく高価な買い物であり、誰にでも容易に手に入るものではない。事業主体は東京都でも、受け入れるのは東村山市なのだ。大きな期待に対して、大丈夫なのか?東村山。

でも、最近、私は、この東村山がとっても好きになってきた。毎日、出会う風景と大勢のひとたち。32年も住んでいたはずなのに、結構、毎日がわくわくなのだ、ほんとに。
新しい家々を見て、そこに期待をもって住まう人たちを思うと、まちづくりの夢を新たな市民の方々とわかちあいたい、と思うのだ。ようこそ! 宝探しをしながら足りないところは一緒に変えていくしかないのだ。(大塚恵美子)