北欧の白いアネモネ

2007年3月14日 02時12分 | カテゴリー: 日々雑感

白い花が好きだ。このところ、続けてブーケを頂戴することがあり、白い花たちだったので、なお嬉しい。私の花活けの花々も、隣家の木蓮もにらの花も白さの異なるそれぞれの白。
昨年5月、遅い春と初夏が一辺にやってきたようなヘルシンキとストックホルムを仕事で訪ねた日々に、林や白樺の根元に咲く小さな白い花が通称「白アネモネ」だと知った。白アネモネは、旅の間中、あちこちで日ごとに殖え広がっていった。
帰国して、スウェーデンの絵本で、好きな本の一冊「リネアの12か月」を開いたら、やはり白アネモネのことが載っていた。そんな気がして。
リネアの本には、「アネモネ・ネモロッサ」とあり、木立、あるいは木陰に咲くアネモネ、葉がついて光が遮られる前に咲く花だそうだ。「アネモネ・ネモロッサ」おまじないのように唇にのせてみる。遠いリネアの国でみた小さな白いアネモネの花。

リネアの本は3冊翻訳されていて「リネア モネの庭で」を初めに手にしたのは、10年以上も前のこと。スウェーデンの女の子リネアがフランス、ジヴェルニーのクロード・モネの庭を訪ねるおはなし。
その本を読んでリネアが好きになって、私と娘は、パリのサン・ラザール駅から列車に乗って、ヴェルノンまで行き、バスに乗り継いでジヴェルニーのモネの家と庭を訪ねた。
印象派の画家、モネの家は、フラミンゴピンクに緑の窓枠、キッチンの黄色と青色のタイルが軽快だ。食堂の隅にうづくまる猫の置物が忘れがたい。春信の浮世絵が階段の壁にいたるまでいっぱい架けてあった。大きく開けた寝室の窓からモネの花の庭をみる。3月末の色とりどりの花々、一本の大きな白い桜の樹がいい香りをはなつ。
モネの庭の真髄は、地下通路でつながるもうひとつの庭、睡蓮の庭だ。セーヌ川の支流エプト川の水をひく睡蓮と柳の池。緑に塗られた「日本の橋」と池に広がる睡蓮、水面にかかる柳の枝の数々、緑色の小舟が浮かぶ。モネの描いたたくさんの睡蓮の庭、そのものの世界。
花が彩る旅の日々。家の周りでみかける親しい花々。どちらも好きだ。一日の終わりに白い花から北欧の花、モネの庭の花々まで思い浮かべて、ほっとして眠ります。明日の元気のために。(大塚恵美子)