電車図書館と桜並木

2007年4月3日 01時45分 | カテゴリー: まちづくり

久米川公団の移り変わりを思う

桜の季節だ。どこを自転車で走っても満開の桜がみえる。毎年思うことだが、私たちの周りには桜がいっぱい隠れている! サイクリングロード、栄町商店街、多摩湖町水道緑地、青葉町空堀川沿いの公園、浄水場、全生園など、足を止めて眺める。花曇の下でもうっとりする。小さかった息子が、近くの久米川公団の見事な桜並木のアーチの下で「おかあさん、竜宮城みたいだね」と夢見るように囁いた30年近く前の春の日を思い出す。

電車図書館のある旧久米川公団、建替えられた現在は「グリーンタウン美住」という19棟の中高層の建物が並ぶ大きな団地だが、1999年、都市基盤整備公団に改編され、現在はUR都市機構住宅というらしい。1989年に団地全体の建替え計画が発表され、一方的な公団の建替え方針に対し移転に合意しなかった親しい川島さんご夫妻を含む7軒の方々が公団側から裁判にかけられた。住まいは人権であり、コミュニティの崩壊や根拠の乏しい家賃の高騰などに納得できない7人の方々の応援に八王子の裁判所の傍聴に通ったこともあった。「住居は基本的人権であり、福祉の基礎である」とする早川和男先生(神戸大学名誉教授)の証言も直接伺った。
1992年には、環境アセスに対する公聴会があり、私を含む3名が公述人となった。団地外の住人は私ひとりだった。環境とは住人の生活の快適さを保障するものでなくてはならず、楽観的なアセス評価案は納得できなかったことから各項目に反論した。市の環境管理計画の策定がないまま、一事業に対しての単体アセスでは環境劣化を招くばかりだと公述した。地下水、防災面、雨水浸透設備、建築廃棄物の処分についても言及し、項目にはないが、電車図書館とコミュニティ、桜並木の存続の必要性を述べた。

そして、団地は建替わってしまい、でも、裁判の時の証言や弁論、自治会や電車図書館の運動などによって都営住宅の併設、高齢者世帯等の低家賃制度とともに、「くめがわ電車図書館」のあらたな西武電車の車体による存続、桜並木と銀杏並木はそのまま残った。
現在、建替え後の残り部分の公団の土地が売却され、民間ディベロッパーの大規模マンションが建設されることになったようだ。作家の村上龍さんをイメージモデル!?に使った豪華な広告が新聞に折り込まれる。国の極めて乏しい住宅政策のその場、その場の変わり身と流転に不思議な気がする。
大事な宝物のような電車図書館と桜並木は残ったけれど・・・(大塚恵美子)