今年の一冊がまだ選べない

2007年12月23日 22時39分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

一年が終わる頃となると、「識者が選ぶ今年のおすすめの本」などが新聞紙上に載る。今年読んだ新刊本はとても少ないので、紙上に一冊くらいしか見当たらなくて淋しい。
クリスマスからお正月にかけて、片付けなければならない家事・雑事は山ほどあるけれど、ちょっと冬休み気分で、本屋で「資料」ではない新しい本を数冊仕入れる、嬉しい。
小さい頃から本屋と図書館が好きである。生まれ育った街に県立の図書館があり、休みの日は父と散歩しながらよく図書館へ行った。児童書は独立した別の棟にあって、空気がぴんとしていて、昔風のちょっといい図書館だったと思う。
須原屋という、街で一番大きな本屋にもよく連れて行ってもらった。とても広くて、本を読んでいる人がほんとに大勢いた。児童書のコーナーも広くて、買ってもらう本を妹と一生懸命に選んだ。毎月、家に出入りの本屋さんが母と子どものために雑誌、母に「ミセス」、私たちには「小学4年生」とか「少女」という漫画雑誌を届けてくれていた。私が少し大きくなってからは、妹が、子どもの文学全集をとってもらっていた。羨ましいので、妹を押しのけて奪って、一番に読んだ。毎月、発売日が楽しみだった。
高校生になると、駅前の文庫本と新書が中心の須原屋の支店に、学校帰りにしょっちゅう通って、立ち読みをした。本好きの学生やおとながいっぱい来て、シンとしてクーラーの効いた店内で、黙々と立ち読み、いえ品定めをしている。文庫と新書、大人びた濃厚な本の匂いを思い出す、しあわせな時間。
続きで、同じ通りにある演奏堂というレコード屋に寄り道して、ビートルズやローリングストーンズ、レッド・ツェッペリン、クリームなどのレコードを撫でるように確認した。新譜が出てもLPなど、直ぐには買えないお小遣いだったけれど。

新刊本ではないが、今日読み終えた一冊「バルザックと小さな中国のお針子」、文化大革命下で下放され「再教育」を受けさせられる知識階層・反革命分子の子弟ふたりと禁書された西欧の本、それはバルザック、デュマ、フロベール…そして仕立て屋の娘。過酷な農村の生活、厳しい労働、そしてほろ苦い恋。ユーモアの漂う独特の文体、鮮烈な風景とひとの描写。何よりも本の力、本を読むことの楽しさがにじみでる。同じ禁書を描いたブラッドベリの「華氏451」とはまた趣が異なる。
本っていいよなぁ、もちろん人生って、おもしろいよなぁ、の同義語か。
さぁ、明日は、大江健三郎の臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」を読むか、それとも暮れはミステリー、サンドラ・ブラウンの「最後の銃弾」にしようか、この迷い、このそわそわ、ああ嬉し!(大塚恵美子)
〔写真は、のんたんのいる図書館が最近のお気にいり〕