源氏香の世界

2008年5月12日 01時46分 | カテゴリー: 日々雑感

薫風の中「お香とお茶を楽しむ会」

秋川のほとり、五日市の生活クラブ協同村で11日、楽しみにしていた会が催された。あいにくの雨模様だけれど、憲法制定作業に携わったブレークモアさんの旧宅を使った洒落た催しだ。
持参した着物に着替えて、まずは「お茶」のお点前をいただく。花生けは野生のアヤメ、湿度のある今日の空気にマッチする。

そして場を移り、初めての「お香」入門。本日は、香道直心流の香点前で、組香のうち、源氏物語千年紀に因む「源氏香」を聞く。閉じた空間で、ひとりひとりに回される小さな聞香炉に手をかざし、たかれた5種類の香木から同香をあてる。五感を解放させながら、精神を集中させる、そんな静かな遊びである。52の組み合わせが源氏物語54帖に近い取り合わせということで「源氏香」とされ、源氏の書かれた平安時代より後の時代に考案されたものとのこと。
5通りの香炉でお香を聞くが、香を記憶にとどめ同じ香を結びつける、というのはこんなに難しいものなのか。私には当たらなかった組み合わせは「花宴」の巻名のついたものだった。ご一緒した友人ふたりがお見事に聞き当てられた。
最初から組み合わせる香木が決まっているのではなく、お点前の前に、25通りの袋に入れられた香木から無作為に選ばれるそうだ。
香木は日本にはなく、絹の道を通って伝えられた東南アジアからの賜物だ。香の分水嶺は、イエメンとのことで東が香木、西が香水へと分かれるのだそうだ。

平安時代は練香が使われ、源氏物語の中で、源氏が娘である明石の姫君の裳着のためにお香の調合を朝顔の君に頼む「梅枝」のくだりを思い出した。
源氏亡き後の宇治十帖のプリンスは、薫と匂宮である。不義の子・薫は生まれつきいい香りがすると書かれている。薫のライバルである、源氏の孫にあたる匂宮は、名香をたきしめて対抗するのだ。
たった一度の香道だが、香りの深い物語のあれこれを思い出させる奥の深い遊びである。(大塚恵美子)