ハンセン病資料館の写真展へ

2008年5月14日 23時26分 | カテゴリー: 自分らしく生きる

青葉町にあるハンセン病療養所「国立多磨全生園」の敷地は広大で、3万本の樹木が入所者によって植えられ、四季を通じ緑の恩恵に浴することができる。4月には、東村山身患連のお花見交流会があり、ちょっと遅いお花見を楽しんだばかり。
今回は、国立ハンセン病資料館で開催中の「ハンセン病を撮る」とした5人の写真家の展覧会に伺った。あいにくの天気のせいか、園内には、ひと気がなく、林を散策しながら資料館へ行くが、いつもと違う道を辿ったせいか、万緑の中で迷子になりそうになる。
終生隔離、強制収容を強いた「らい予防法」が1996年に廃止された後も、社会復帰が困難な状況は変わらず、ハンセン病療養所は全国に15カ所あり、2800人の元患者、回復者が生活され、全生園には330名もの方が暮らしている。平均年齢は79歳と聞く。
タブー視されてきたハンセン病を正面から捉えたチョ・クンジェ、太田順一、寺島萬理子、船本康子、八重樫信之さんらの写真が展示され、10、11日に開催された「ハンセン病市民学会」に併せた企画とのことだ。1960年代から撮られた80枚くらいのモノクロームの写真が並び、差別と偏見の中での入所者の生活の有り様がみてとれる。後遺症や知覚麻痺の残る手足で、趣味の陶芸などに打ち込む姿や、伴侶をなくされた後のたたずまいなど、様々な肖像が並び、撮り手が向かい合い、克服されたものの大きさを感ぜずにはいられない。しかしながら、写真家に対して投げかけられた入所者の方の言葉のひとつ、「写真や論文を発表するのは、あなたたちのためにはなるけれど、私たちのためにはならない」には、胸が塞がる。
昨年リニューアルされた2階の常設展示室ものぞく。整然とした展示となっているが、入所者の手作りだったかつての展示が、厚労省の意向優位と業者による見た目重視の脚色のため、患者の視点を欠いている、との資料館運営企画委員会の指摘があることを後で読んだ資料から知った。「ハンセン病市民学会」でも、「患者の隔離政策を推し進めた国の責任についての説明が不十分」との見直しを求める提言が出されたことも新聞で知る。
「ハンセン病問題基本法」制定をめざす100万人署名の活動が展開されているが、「医学的に治癒しても、社会的に治癒していない」と元患者にいわせてしまう理解の不足、尊厳の回復が容易ではない社会の根深さを考えてしまう。
しかし、東村山では近くの小学校や保育園との交流も活発で、この日も園内を通って遊びながら下校する子どもたちの姿を見かけ、以前、青葉小の子どもたちが研究発表した作品を思い出し、いいな、子どもはストレートに軽々と超えることができる、と何かを信じる心もちになった。(大塚恵美子)