いいじゃない!「図書の利用のための共同保存」

2008年5月25日 23時15分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

「NPO法人共同保存図書館・多摩」総会

この4月にNPO法人として認証、登記された「NPO法人共同保存図書館・多摩」通称「多摩デポ」の総会に出席した。
2001年に東京都の「都立図書館あり方検討会」が都立図書館の縮小再編計画を出し、重複した資料14万冊を除籍したことに端を発する活動がここまできた。都立図書館が保存する資料はそれぞれ1冊となり、しかも永久保存は保障されないことになり、地域図書館への協力貸出しも後退しはじめた。現在、都立図書館から放出された資料のうち、24,000冊が東京都市町村立図書館長協議会の所有となり、武蔵野市の施設に預けられ、共有財産として活用が待たれている。
一方で、多摩地域の各図書館でも、書庫の収納に限りがあることから、除籍(リサイクル本の提供など)せざるを得なくなり、気がつくと、ある本はどこの図書館からも消えてしまう、そんな事態が起こりそうになってきた。ひとつの自治体では解決できない課題を自治体の枠を超え、将来に亘り継続した利用を保障するための資料の保存を共同で行う、そんなコンセプトの検討から2006年にNPOとして発足したのが「多摩デポ」だ。
記念講演では、元国立国会図書館副館長の安江明夫さんから「公共図書館と協力保存」と題し、真にすっきり整理された話を伺い、胸がすく思いを抱いた。
除籍、廃棄も図書館協力の枠組みで、プリザベーション(保存)を図書館の機能として広範に考える、とのこと。コンセプトの転換をはかり、除籍を移動と考え、共同保存構想に参加する図書館の自館蔵書+共同保存図書館「多摩デポ」蔵書=新蔵書に大いに納得する。
市長会からの500万円の補助を受け、東京都市町村立図書館長協議会が「共同利用図書館」=保存図書館に関する調査を行い、近々まとめが公開されると聞く。
「必要は協力の母」と安江さんは、知識、情報へのアクセスの継続、保証のために共同保存で地域、市民、図書館を支える「多摩デポ」に期待、と結ばれた。
利用のための保存、その通りだ。運営上の細かい課題もいくつかあるが、この構想、システムが図書館にとって、市民にとっての救世主となることを願う。(大塚恵美子)