無念 逃げ水のような介護保険制度

2008年7月9日 00時00分 | カテゴリー: 政治を変える

介護保険制度が2000年に導入された時は「介護の社会化」の実現かと期待した。ところが、8年目の今は、使い勝手がどんどん悪くなり、罠にはまったように思える。
服部万里子先生(立教大コミュニティ福祉学部)から介護保険の現状と論点整理についてレクチャーを受けた。来年は介護保険の報酬改定が行われることになる。2度の介護報酬の実質的引き下げに次ぎ、今回も暗い予測となる材料ばかりだ。

「適正化」という名目の規制により介護抑制策が顕著となり、H18年から介護サービス受給者が減となった。サービス別の利用件数では単独で業務を行う居宅介護支援事業者のケアマネにしわ寄せが来ている。H18年、20年の比較でも居宅サービスが10%も減少つまりケアプランが減少し、居宅の経営は悪化、ケアマネが余り始めたと服部さんは指摘する。
来年から国家資格となる介護福祉士だが、現在ヘルパーの資格をもつ人が実際のケアワークにつくことをあきらめている。今月、インドネシアから外国人介護職として300人がケアワークにつくために来日する。そのことにより、介護に携わる人件費の水準は更に引き下げられることにつながる。
介護療養型施設の削減によって受け皿のないまま、在宅介護が強いられても、68%を占める老老介護、独居、日中独居ではどうしたらよいのか。追い討ちをかけるように居宅介護支援、訪問介護事業所も減少しているというのに。
切り札の小規模多機能は、予測を裏切り全く増えない、現在全国で1600カ所、市内にも1ヶ所あるが、利用者は0である…使えない機能なのである。受け入れる利用者の要介護度が重度でないと施設は採算割れしてしまう、重度の人が利用するサービスとしては小規模多機能だけでは不十分だが、それ以上のサービスを使うには介護保険だけでは足りない。軽度の人は受け入れてもらえない。と、まあこのようなミスマッチな仕組みなのである。

結果的に、介護をつけた有料老人ホームや高齢者住宅が増える、ぴんからきり、というが、劣悪でも我慢しろというわけ? 後期高齢者医療制度も我慢して? 75歳以上の収入の内200万円が40%といわれる現実の中で?
今後の予測として、報酬の更なる引き下げ、自費を使った「混合介護」導入、介護保険から除外する対象を増やす、生活援助を除外する、負担アップなどの抑制策が検討されているという。

社会保障費の絶対的な抑制のための介護保険制度であるなら、理念など初めから信じてはいけなかったのか、真に無念。ああ、今日は絶望的な気分となる。老老介護の最中にある両親の顔が浮かぶ。あらゆる機会に声をあげないと、とんでもないことになる。もう時間はない。(大塚恵美子)