高齢者の住まい考 その3「ほっと館」

2008年8月6日 06時57分 | カテゴリー: 自分らしく生きる

江戸川の「高齢者共同住宅」訪問

先日の江戸川区散歩のしめくくりが「ほっと館」、「NPOほっとコミュニティえどがわ」が運営する安心、快適な住まい。生活クラブ運動グループで活動してきた旧知の人たちが地域の専門家、男性陣とともに生み出したのが2004年12月完成の「ほっと館」だ。
いつか訪ねたいと思いながら3年半が経ち、やっと訪問が叶った。江戸川区役所に程近い遊歩道に面した3階建てのほっと館、風景に馴染んでなんだか懐かしいような気さえする。
1階は、玄関、NPO事務所とコミュニティレストラン「ほっとまんま」、子どもクリニック(テナント)になっている。
2階、3階に各5室の居室と共用の広いダイニングキッチン、居間、和室、浴室がある。各室は8畳の広さと小さなキッチン、トイレ、クローゼットがついている。スタッフは朝8時半から夜10時まで常駐しているが、夜間の見守りを兼ねてそれぞれの階に、若い人が住んでいるのが心強い。介護度の重かった居住者が入院のため退去され、現在各階に空き室がある。
入居一時金は480万円、家賃・管理費が月額11万円、希望する人には「ほっとまんま」で安全な食材を使ったランチや夕食が格安で提供される。
事務局長の毛塚さん、居住者の毎日の暮らしをサポートする生活コーディネーターの弟子丸さんから話を伺いながら、共用部分の居心地のよさを満喫する。

地域力・市民力による集大成のほっと館誕生はなかなかドラマチックだ。2000年夏に区内の男子寮の再利用計画が持ち込まれ、「本一色ふれあい住宅検討会」を結成し、設計や建築などのさまざまな専門家たちと改造に向けた協議が始まる。しかしながら、出来上がった計画と地主の構想とのミスマッチで頓挫となる。でも、ここからがすごい。関係団体メンバーから、土地の協力の話が出て、新しい住まいづくりに向け、新たな発想で「江戸川区に高齢者の住まいを考える会」として再スタートを切る。あきらめなければ道は切り開ける、ということが。
2002年に、事業主体としてNPOを選択、現在の「NPOほっとコミュニティえどがわ」を設立するが、ここからがまた大変、建設資金集めに奔走する。一口5万円の「ほっと債」、2%の利子をつけた「ほっとゆうし」、そしてようやく信用金庫から融資も決まり、1億2000万円の資金が無事調達できる! そして2004年6月着工、12月堂々完成となる。地域の力、市民のネットワークの力はものすごいエネルギーを生み出すのだ。

現在、NPOが取組む事業は4つ。「ほっと館」の管理・運営、区から受託する高齢者の「地域支援事業」として「ほっとサロン」を毎週土曜日に運営、誰でも利用できるコミュニティレストラン「ほっとまんま」の運営、そして調査・研究機関でもある。
誰もがひとりでは暮らせない、人と人が支えあう暮らしの実現を丁寧に進めてきたメンバーに乾杯を、という訳で、見学会終盤は、「ほっとまんま」でおいしい夕食会となる。居住者の方も一緒のレストランで、にぎやかな打ち上げ。
介護保険の制度だけでは高齢の時代を生きられない、介護と看護・医療とそして顔のみえる地域の支え手。常に進行形の「ほっと館」につづく私たちの街の「ほっと館」づくりを手がけたいものだ、いつかきっと。(大塚恵美子)