鶴岡・朝暘一小の「みつける・つかむ・つたえあう」学校図書館

2008年11月2日 04時43分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

会派視察 10月30日

「図書館活用教育」を学校経営の中核に据える山形県鶴岡市の朝暘第一小学校を訪ねた。出羽三山に囲まれ日本海に面した庄内平野に位置する鶴岡市は藤沢周平の作品でも知られる庄内藩の城下町。豊かな自然に恵まれ、学問・文化を尊ぶ気風が残る街だ。
ここ数年来、藩校致道館の流れをくむ朝暘一小の学校図書館が注目を集めている。昨年、創立100年を迎えたこの小学校は、学校図書館大賞ほか数々の賞を受賞し、年間4回の図書館活用教育の校内授業研究会を開き、300人もの視察を受け入れてきた。

学校から指定された視察開始は7時45分。正面玄関のすぐ近くにある図書館に、ひっきりなしに子どもがやって来る、なんと朝の30分の貸し出しに400人もの子どもたちが我先にとやってくるのだ。年間にひとり150冊の読書ができる子どもたちの姿を目の当たりにした。低学年も本の分類がわかっているので、お目当ての本をすぐに見つける。雨降りだったが、外のウッドデッキで貸し出しカードを記入する子、学校司書や司書教諭に相談する子、5年生の図書委員が貸し出しをテキパキこなす。
8時15分から1年生のクラスで、読書支援サークル「本のたからばこ」によるよみきかせが始まった。1・2年生は毎週1回、3・4年生は月2回、5・6年生は月1回、37人のメンバーが2〜3人体制で揃いのエプロンをつけ、よみきかせをする。33人学級の子どもたちが床に座り、絵本の「ろくべえまってろよ」のクライマックス、みんなの気持ちがきゅっと集中する。
9時半からは、4年生の総合学習で図書館活用の実践をみる。学習テーマは「鶴岡の未来へおくるもの」。3クラスの子どもたちが次々にやって来て調べ学習が始まった。鶴岡城、庄内柿、加茂水族館(オワンクラゲで一躍有名に)など各自テーマを決め、目録カードで検索し、郷土資料や社会科の資料、鶴岡の特産物や文化財のパンフレットなどを集めた193タイトルものインフォメーションファイルから資料を次々と引っ張り出し、読み始める。情報カードにおくりもの、課題、考えたこと、わかったことなどを書き込む。決め手にかける子は、担任の先生や司書教諭にアドバイスやヒントをもらっている。11月には発表だ。実際に使える資料が整えられ、図書館が情報センターとして子どもにも教師にも信頼されているのがわかる。
その後は休み時間、子どもたちが朝以上にやってきて、本の貸し出しに列ができる。ここでも図書委員がカウンターに立つ。9、10月は3年生以上が「図書館クイズ」に取組み、学年ごとに10枚のクイズに正解すると、チャレンジ大賞者として廊下に賞状が張り出される。このクイズなかなか難しいのだが、図書館がすみずみまで使いこなせ、検索力がつく手助けになっている。この日はめでたく2人の正解者がいて、ごほうびに図書館アイドルのクンクンやこん太と一緒に写真を撮ってもらっている。
なかよし学年のペアで行なう2ヶ月に1度のよみきかせの本を選び、練習も自分たちで行い、子どもたちの楽しみの分かち合い、コミュニケーションにつながっている様子だ。

読書センターと学習情報センターのふたつの役割を2教室分のスペースと12770冊の本たち、学校司書と専任の司書教諭ががっちりと受け止める。いつでも開いていて、誰かがいる、頼りになる図書館だ。卒業生や先生の「おすすめの本」リストや長年の積み上げによる「学習に役立つ本 単元別参考図書目録」など、役立つ図書館の工夫が随所に活き、先生たちからの信頼も厚く、司書、司書教諭、図書主任、教師の役割も明確で、連携が有効だ。図書館活用教育特別委員会の設置により組織的な図書館活用が進み、必要性の共有ができている、これはすごい!正午まで、丁寧にお話を戴いた難波校長先生、宮島司書教諭に感謝します。 
子どもたちは図書館に来るのが楽しく、読書が日常化し、情報を活用する力がつき、探求する学びの姿が無理なくみえる。
こんな学校みたことない! 図書館の活用で子どもが育ち、学校が変わることを確信する。(大塚恵美子)