「図書館を本のレストランに!」朝暘一小の実践 その2

2008年11月3日 18時30分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

「学校図書館・虹の会」の集いから

念願の鶴岡市立朝暘第一小学校の学校図書館見学が叶い、元学校司書の五十嵐絹子先生から直接お話を伺う機会も得られた、まさに実りの秋。
絹子先生は、鶴岡市内の小中学校で40年間、学校司書として勤められ、昨年退職されるまでの12年間を朝暘一小の「待つ図書館から働きかける図書館」づくりに、思いつく限りの工夫や改革をされてきた。子どもの日常という現場のドラマに体当たりしながら。

「図書館を本のレストランにします!」とは、絹子先生の伝説の名言。読書は自分を育てる力を育てる、だからすてきなメニューのある図書館を、と「学習資料センター構想三ヵ年計画」を校長に提出し、暗く子どもが素通りしてしまう図書館を使いやすいようにリニューアルし、分類に沿った探しやすくわかりやすい書架づくり、古く不要な本をばっさり除籍し読みたくなる本を並べる。先生たちの反発も受けながらの1年目にして子どもたちの貸出しが増える。正面玄関近くの教室への移転を英断した時の校長先生。予算のない中、リサイクルの机や書架を集め、窓にはバーゲンで買ったフリルのカーテンを。
「子どもの本離れは、何の環境もつくらないで子どもの文化をゲームに委ねてしまったことが要因」と絹子先生は断言する。明るく親しみやすく、頼りになる図書館をつくる、そのために一番大切な図書環境は「人」だということ。本を手渡すのは人。人は人が育てるのだ。こう伺うと、こころが泣けてくる、おとなってできない言い訳ばっかりするものね…
読書訓練は必要だという。読書習慣は自然に身につくものではなく、子ども時代の指導が欠かせないことから入学式から隙間時間によみきかせ、学校中、本のシャワーを、と!! このパワーが司書教諭、司書主任との協働を生み出し、先生に向けて、学習に役立つ「単元別参考図書目録」を毎月作成し、図書館を活用した指導情報満載の「職員用図書館だより」を架け橋とし、図書館を活用して授業の質を高めることにつなげる。子どもたちだけでなく、いつしか学校中の教師たちを味方につけてしまう。
読書支援を行なう「本のたからばこ」のようなサークル、ボランティアの存在も重要だ。学校側からは、学校が主体となり、何を期待するか方針をもち、ボランティアに丸投げしないこと、打ち合わせや研修を定期的にもつこと。ボランティア側からは、学校教育の一端を担う誇りをもち、教育方針を正しく理解する姿勢をもつ、学校の批判やうわさ話をしない、個人的な好みや自己満足で図書館を造り替えないこと、など伺った。誰のための活動か、ルールを尊重し両者の信頼関係を築くことが鍵なのだ。
絹子先生自身の「本は生きる力を育む」幼い頃の体験をもとにした、本を楽しんで読めない子や不読児へのアプローチも伺った。不登校の子どもへ本を手渡す努力を担任とともに行い、図書館に来ない子への「ラブレター」や「ラブコール」作戦、興味のもてる本を発見するなど、ひとりひとりに向き合う道筋をつける。学校図書館は、学校教育に奇跡をおこすことができる無限の可能性があるということを改めて知らされた。
現在、先生は、鶴岡市教育委員会の図書館支援業務員という役割で、市内の小中学校に出向き、学校とのコミュニケーションと協働によって学校図書館の環境整備に力を発揮されている。朝暘一小も、近々校舎の全面建替えの工事に入る。視察の日にちょうど地鎮祭が行なわれ、新校舎の模型を見せてもらい、文字通り学校図書館を校舎の真ん中に据えることを伺った。「図書館活用教育を学校経営の中核に据える」鶴岡市のチャレンジは更に進化しそうだ。

日本中の学校図書館を機能させたら、すごいことになる、と絹子先生のエール。東村山に、日本中に届かせたい! (大塚恵美子)