蛤谷可乃さんの日本画

2008年11月17日 01時35分 | カテゴリー: 日々雑感

国立のギャラリーで、蛤谷可乃さんの展覧会が開かれている。2年に1度、廻ってくる展覧会。ご案内の葉書を手にすると、また、あの独特の美しい描写に出会えるのだ、と気持ちが波打つ。
今回の作品のご案内は、一面の蓮の華だった。大好きな花、今日、逢いに行った。
彼女はまだ若い日本画家。内面のつよさ、同居する柔らかさが面差しに現れていらっしゃる美しい作家。彼女に2年に1度、お目にかかれることが密かなたのしみ。
中庭に緑のあるギャラリーの雰囲気も彼女の作品によく合っていて、一体感があることも不思議だ。今日のような雨上がりが似合う展覧会。
描きこみの丁寧さ、日本の色彩、岩絵具の調合、そして空間の静けさがなんとも可乃ワールドなのだ。
香合やおもちゃのバス、草花などを描いた小品は、色の美しさと題材のおもしろさ、手を抜かない丁寧なしごとが魅力。時折、光の加減で絵具に混ざった雲母が光る。息をとめて描いたような緊張と、相反するほわっとしたヒューモアのようなものが浮かぶ。生真面目でお茶目な人なのだ、可乃さんは、多分。
そして、大作の人物の画があり、4年前には、夏の陽射しの中、日傘を傾ける彼女の姉上であったし、2年前には、山手の異人館にたたずむ友人であったり、今回は、夕暮れ時にくつろぐ美しい母上、糸美さんの姿をみる。向かい合う密度の濃い時間を思う。
3枚の大きな植物の画、幾重に重なる庭の草花、菖蒲、そして蓮の華。北山公園の季節のいろ。終わりのないような筆のしごと、丁寧に丁寧に観察し描きこまれた葉、葉脈、花のいろ、音をはなれた余白の広がりが静かだ。日本画の色は、マットなのだが、不思議な透明感がある。
音のない世界だが、香がある。傍らでひと休みしたいような、同化してしまいたいような。
蓮のピンクの一枚一枚の色づき、葉の濃淡が美しい。いつか、独り占めして手元におきたいような絵。

ちょうど、ハルカさんがみえた。可乃さんとハルカさんは一緒に遊んで育ったような仲。一緒にいるのが嬉しい、魅力あるふたり。期せずしてふたりの結婚観、といったものを伺う。それぞれストレートで、好もしく、ほほえましい、ああ、こんな時が私にもあったな、と想い出す。ふたりの先に拡がる未来、あるいは海のようなものがみえる。様々な可能性のあるふたり、どうぞ、自分らしいしあわせにたくさん廻りあってね。
帰り道、遠く離れている娘のKaeのことを、ものすごく懐かしいように思った。(大塚恵美子)

蛤谷可乃 日本画展は18日まで
コートギャラリー国立
【写真は、蓮の華、可乃さんとハルカさん】