なんとはやい一年 映画から教わるこの一年

2008年12月31日 22時58分 | カテゴリー: 日々雑感

もう大晦日とは。年々、一年がはやく過ぎ、自分自身が追いつかない!という気分です。それと同時に、新しい年を迎えるという節目に対する緊張感も年々失われてきました…どうしたことでしょう。もはや歯止めが効かない人生のような、ややまずいな、とは思うのですが。でも、丈夫に無事に、思い煩うことは多々あっても、一晩寝れば、よーし!という気分で一年が過ごせたのです、本当に大勢の方々のお陰で。ありがとう。

年末とはいえ、様々なことを報告しなければならなかったのに、HPの更新が全くできませんでした…ここ数日のことが思い出せないくらい慌しく過ごしてしまいました。
一息つかなければね、ということで今年観た映画の話を。
今年観た映画で印象的だったものは「靖国」、「実録連合赤軍・あさま山荘への道程」、過去と現在をつなぐ検証、この2本は過去のHPに書いたかと。「靖国」は、劇場の中に警備のための警察官が立つという物々しさ。映画自体は、すぐれたドキュメンタリーです。10年に亘る8月15日の靖国神社そのままの描写ですが、軍服姿の参拝などに驚きはしませんが、今に至るまで人を依って立たせる装置のちからには驚かされます。生きることを肯定してくれるのは靖国に象徴されるものだというのはやはり予め失われた、いえ奪われた青春ではないかと思うのです。靖国のご神体は刀、最後の刀匠の姿やモノローグはストイックな静けさに満たされています。刀匠の位相とは異なるように思えますが、「刀」は天皇の名において、国家によって人間の頭を落とすものの象徴なのです。
その他、好きだなと思った映画は「ジェイン・オースティンの読書会」、「マルタのやさしい刺繍」この2本は、女が自分を、そしてともに歩ける友人を再び見つける映画。女の度量の奥行き、勁さ、エンパワー、そして年齢に関わりない愛らしさ。私も一緒にいれて!という気分の映画、やっぱり女がいいなあ、苦境を跳ね除けるのも女だ、私は女が好きだ。
それから、家族の笑いものではあるが、実は女が主役の歴史物映画が好きなのです。「宋家の三姉妹」とか「王妃マルゴ」とか。今年は「ブーリン家の姉妹」、ヘンリー8世にカトリックを棄教させ王妃となったアンとその姉妹。衣装も風景も見所満載。歴史の傍線がくっきりするのだ、歴史は映画で興味を高めるのがよろしいかと。真実とはいいませんが。学びは入りやすいところから。

そして「PARIS」いい映画だった。「猫が行方不明」などParisの素顔が秀逸な監督クラピッシュ。こころに小さな灯がともる。決してほんわかした映画ではなく、重い病を負う元ダンサーの弟、そして弟を見守ることを決めたシングルマザーの姉、あまり時間があるとはいえない日々を描きます。主役はPARIS、そこに生きる様々な人々。お互いが街ですれ違い、言葉を交わし、別の人生を生きる、同じPARISの中で緩やかに絡む糸。たくさんの人生をパリの空から俯瞰してみたら「セ・ラ・ヴィ!」。寒い冬のPARISの匂いがする、泣きたい時だってあるし、立ち止まる時もあるし、そして誰にでも射し込む光のありがたさも。当たり前の小さなしあわせ。

終わりのみえない金融不況、8万5000人の非正規雇用者の失職、母子家庭の生活保護費特別手当の廃止、ガザの悲劇の連鎖など、どうやって生きていけばいいの、という気分、不安と温まらない気持ちで年を越すのはつらいものです。来年は、少しは信じられるものが見える年であるように願います。
少なくとも寒さに負けずにいきましょう!この一年、ありがとうございました。(大塚恵美子)