ろくろのある暮らし

2009年4月15日 12時55分 | カテゴリー: 日々雑感

なんちゃって九州ぶらり旅

佐賀県有田町にいる娘のところを訪ねてきた。山と水に囲まれた田園風景と窯元の甍と煉瓦の煙突、やきものの里の初夏の風景がきらめく。一面の麦の穂がはやくも実り、日々山々の新緑が深まり、鯉のぼりと武者絵の幟が悠々と空を泳ぐ。

車であちこちの窯につれていってもらう楽しみ。今回は、娘が仕事をしている波佐見の「白山陶器」も訪ね、専務さんから工場の案内をして戴く。世界的に知られる森正洋デザイナーの仕事が今も継承される白山の磁器は品質管理が厳しく、今尚新しい。すべての工程が緻密に組み立てられ、大勢の人が黙々と役割に精進し、工場内は清潔で整頓されている。興味深いお話もたくさん伺え、いい会社づくりがいい作品・製品へと昇華されていることを知る。
源右衛門、今右衛門、柿右衛門窯をたずね、古伊万里様式や染付け、濁し手、色絵などをじっくり見る。国宝・井上萬二の白磁の展示も見る。どれも圧巻であり、意匠と技術は飽きることを知らないようだ。今右衛門の窯では、娘が模写したことのある兎の皿が展示してあり、緻密さと品格に驚く。
日常の器である波佐見焼の窯が集る中尾山では、一真窯で、美しい「しのぎ」のティポットを買った。

足を伸ばして福岡県の吉井町にも出かけた。白壁の町として静かな脚光を浴びている町の散歩は楽しく、古い町並みや商家、元医院などに作家のものや古い雑貨などをセレクトする店が点在する。昭和初期の木造の製麺所やシンプルなうどん、筑後川に面したロックな人が営む生ハムやソーセージ(絶品!)の店など頑張らない、よくばらない静かで確かな暮らしがあるように思える。

娘とパートナーの暮らしもまた頑張りすぎず自然体で、傍らでみていて実に楽しそうだ。ふたりのやってきたことや好きなものが反映される部屋、磁土をこね、かたちづくるろくろがあり、食卓にはさまざまなやきものやリネンや木綿のマットが並ぶ。手づくりのブイヤベースや煮びたし、クスクスのサラダ、アールグレーの紅茶、バゲットのサンドイッチ、ほうれん草とチーズの入ったそば粉のガレットなどが調和する器。自分たちの創ったものだけでなく、いろいろな作家の器も購入したりもらったりしていて、食べながら、器を眺め、これは誰それの作品、これはとても好き、など自然に、やきものの話になり、夜が更け行く。

暮らしとかものとか、好きなものが生きる毎日はいいな、と思う。(大塚恵美子)