草刈民代のEsprit

2009年4月25日 01時24分 | カテゴリー: 日々雑感

ひさびさの休日、渋谷の本屋リブロとナディフに寄ってから、オーチャードホールの、バレリーナ草刈民代の引退公演に行く。
オペラも歌舞伎も能も芝居もバレェも好きだ。舞台が好きなのかもしれない。

「もう白鳥の湖は踊れない」とのことで、まだ若くまだ活躍が期待できそうなのに、草刈民代のバレリーナとしての舞台は今晩が最後なのだ。観客の年齢も多彩で、バレェの公演のような若い女性ばかりではなく、男性もかなり多い。
美しく凛として華やかな草刈民代の存在だけでなく、内容は十分楽しいものだった。ローラン・プティ振り付け、草刈本人が演出の小粋なダンスショーになっている。演目はバレェのガラなのだけれど、小品の11演目中5つのストーリーを踊った。背景はなく、舞台装置らしい装置はほとんどなく、コスチュームもシンプルな白、そして黒。

音楽と6人のダンサーの美しく鍛えられた肉体と舞踊。無駄をそぎおとしたような演出で、振り付けも斬新である。
バレェというのは、結構コミカルな動きがあるものだが、パントマイムのようなシーンもあり、リズミカルなコミカルな動き、器械体操のような手足、美しいパ・ド・ドゥ、妖艶なデュエット、マティスのダンスの切り絵のような群舞など、飽かすことのないショーだ。

クラッシクバレェの様式美の中のストイックさに比べ、ウイットとエスプリが堪能できる新しい舞台だった。

余韻を残して、最後の踊りが終わる、鳴り止まない拍手、繰り返されるカーテンコール、総立ちの観客。何回も何回も手を振り応える草刈。誰もが別れを惜しむ中、最後の幕がおりる。
浮世の思い煩うことも遠のいた気分となり、帰り道は、軽やかにステップを踏む気分で、人並みをよけて歩く、当分、白と黒の服きり着たくない気分。ああ、舞台って、ほんとにいいものですね。(大塚恵美子)