やっぱり藤沢周平にはまる

2009年4月29日 00時24分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

近寄ると危ない、と遠目でみていた藤沢周平、やはり抗えず、はまりそう。
先頃、一気に読み終えたのが「風の果て」。海坂藩ではないが、やはり、庄内の風景が目に浮かぶような。
不毛の土地「太蔵が原」の開墾を伏線に、主席家老へ登りつめた又左衛門の厄介伯父(家督を継げない武家の次男、三男)としての青春の時代へのフィードバックを重ね、清濁あわせもつような青春群像、権力の魔力や理不尽な社会の構造への静かな怒り、持続を可能にする構想、すれ違うこころ、得るものと失うもの、を描いた、つよい印象を刻む作品。文章が美しく、その世界に誘う筆の力は静かにして抗えない魅力、魔力がある。
ちょうど、自分自身のさまざまな身近なこととの共通点に思い至る。そうなのだ、ある時代を描いても、悩みながらも生きる、という現代の人間への共感が漂うのだ。
昨年、庄内の鶴岡、藤沢の生地を訪ねた時から、まずい、と思っていた。いつかは出会う藤沢周平であった。最近、知ったことだが、結核を患った若い頃に、藤沢は、東村山市の篠田病院、保生園病院で、療養の日々を過ごしていたのだ。
まずい、本当に、もう駄目だ。若き日のあの横顔にも惹かれる…私はご存知の通り、ミーハーのイケメン好みなのだし。

風土が作家に根ざし、影響を与えるというのは納得できる、山形県庄内の辺りは、今でも魅力的だ、また訪ねたい。しかし、藤沢の故郷を分断した高速道路、新幹線、庄内空港、そして、遊佐を結ぶ新たな高速道路計画が遡上にのっている。簡単便利と引き換えに、原風景を失う。「太蔵が原」の開墾の夢とは違う思惑をのせて。
さ、次は何読もう、「蝉しぐれ」にしようかな。(大塚恵美子)