介護保険制度の混迷

2009年8月14日 08時28分 | カテゴリー: 自分らしく生きる

先日、埼玉に暮らす両親を訪ねた。80歳を超す老親を一年に1度か2度きり訪ねない親不孝である。認知症があり要介護状態の母は週3日のデイサービスを利用している。ふたりで最寄の駅まで出迎えてくれる。銀髪をおかっぱに揃えた母は、あまり老け込みもせず、始終にこにこして、通っているデイサービスのことをよく話してくれる。近くに住まう妹もやってきて、ショートステイや医療施設が併設され、訓練を受けた犬が館内に飼われセラピーの役割をしているなど、先駆的な取組みで知られるデイサービスの質についても詳しく聞く。家の前まで送迎があり、入浴や手芸、昼食やおやつなど一緒に楽しむ人たちができたことを受け入れている母。母の状態を受け入れ、家のことは草むしりから食事のしたく、洗濯、そうじなどこなし、何ヵ所もデイサービスを見学し、ケアマネージャーに連絡し、自ら母の利用するサービスを選択してきた父。これは、なかなかすごいこと、といつも感心する。役に立ちようのない娘の出番なし、といった感じ。
このところ、父は膝が痛み、どこまで父がやっていけるのか、母の今後についても考えないと、という話になる。次のケア・カンファレンスには同席することを約束する。
両親の場合は、父の厚生年金の範囲で介護保険の負担費用も払うことができ、サービスの抑制もなく、ケアマネや医師とのコミュニケーションもうまくとれ、介護保険の恩恵を受け、在宅で生活することが可能なケースだ。しかし、今後はどうしていったらいいのか。父が今のような元気がなくなったとしたら、ヘルパーさんに援助が頼めるのか、グループホームなどの施設への移行も可能なのか。まだまだ突き詰めて考えてはいない。

両親を訪ねた翌日、居宅介護支援事業所のケアマネージャーの友人ふたりに、介護基準が半年で再修正されようとしている介護保険の最近の事情や課題についてヒアリングに伺う。身内の介護事情を例に出しながら、いろいろな話を聞く。
半年前の改正では、特別加算の影響が大きいとのことだ。入所施設等をもつ居宅介護支援事業所など規模の大きな事業所には有利な事業者本位の制度となった。独立の事業所にとっては事務量が増えたものの状況は変わらず、介護従事者への待遇改善には結びつかず、離職する人は増加している、とのこと。加算の影響は当然、利用者にも反映され、必要以上のサービス回数が組み込まれたり、反面、新規の利用者には適切なサービスが受けられる余地がない、という事例もあるとのこと。
療養型入所施設が減る分の受け皿はないに等しい。特養は順番待ち、グループホームは費用が高く、誰もが利用できるものではない。訪問介護は制限があまりにも大きい。
介護サービスはケアマネージャのコーディネート力にかかることが大きく、チームを組んだ人的パワーの質も均質ではない。
制度が実態に合わず、理念を置き去りにし穴が開いたままでは、直面する先が描けない。(大塚恵美子)