NO ART, NO LIFE. NO MUSIC, NO WHISKY.

2010年5月3日 00時43分 | カテゴリー: 日々雑感

浅草雷門近くに、知人の村守恵子さんが経営するカフェ・バー、ギャラリーがある。Gallary efというこのギャラリーは、江戸時代からこの場所に残る土蔵を再生したもので、台東区の歴史的建造物に指定されているそうだ。関東大震災にも東京大空襲にも耐え抜いた土蔵が今も残り維持され活用されている。以前より訪ねたく、ようやく願いが叶う。
「女書 ニューシュ」という展覧会の最中だった。暗い土蔵の中に、雨か涙の粒のように吊るされた数限りない赤や透明のクリスタルビーズが仄かに煌きをはなつインスタレーションが鮮烈だ。漆喰の壁と漆塗りの床の展示場には、初めて知った中国の女文字「女書」が展示されている。薄い用紙や扇に書かれた文字の数々。千年前から女たちが秘めて伝え合い、贈りあった手紙や歌、言の葉が綴られている。数年前に最後の伝承者が亡くなられたという。
なんとはかなげで美しい文字。まるで、黒い糸で刺繍したような繊細な文字。文字と文字が寄り添い、小声で囁きあっているようだ。
女であることで、虐げられながらも、自分たちで紡ぎだし、思いを伝えた文字。研究者の遠藤織枝さんとアーティストのYUCAさんのコラボレーション・アートが、なんと古い土蔵と呼応し、無名の民が歩んだ文化と歴史を見せてくれたことか。

同じ日の夜は、地元の「茫々亭」で、ボサノバのライブ、ブラジリアン・ナイトだ。遅刻して駆けつけた茫々亭の中も庭も、一部が終わった余韻に満ちていた。思い思いの場所でビールやワインを手に談笑の夜。しばらくして再開したライブは、Kemiさんの伸びやかな歌声とアコーディオン、サックス、パーカッション、そしてブラジルからやって来たギターのジョアンさん、包容力のある国宝級の演奏者のセッションだ。沖縄民謡も織り交ぜて、ハートからハートに届くストレートな音楽の力、どうだ。ああ、なんていい気持ちか。
ウィスキーを呑み、囲炉裏や庭の炉を囲み、話がつきない夜、夜空。
歌姫Kemiさんもアコーディオンのかよさんも地元東村山の人だ。回りもみんな、地元の人、いいじゃない、こんなにすてきな人がいるジモティ・ナイト。
ああ、アートも音楽もウィスキーもない人生なんて、なんぼのもんよ。(大塚恵美子)