デイサービス「亀群 かめむら」での一日

2010年5月6日 10時04分 | カテゴリー: まちづくり

連休中、駒ヶ根市の友人宅に1泊どまりで伺った。古谷葉子さんは、12年前に、ご夫婦で長野県駒ヶ根市の民家に移り住んだ。東村山では介護保険制度以前から「たすけあいワーカーズぽけっと」を立ち上げ、NPOの理事をされていた。常に志しを忘れず温かく、決断と行動で人を巻き込んでしまう魅力の人。私からみると突然の駒ヶ根行きかと思ったが、さにあらず、種をあちこちに蒔き育てる、ターシャ・チューダーのような人。私は2度目の訪問だ。
その人柄と行動力は、甲斐駒ケ岳の麓の村でも発揮され、高齢化の進むまちのグループホームの施設長に抜擢され、H11年には地域の同世代の嫁さんたちと「大曽倉ふれんど」という福祉と農産品加工販売を行なうグループを設立、今ではNPO法人に成長、「宅幼老所 亀群(かめむら)」として、高齢者のデイサービスを開設している。
それまでご縁のなかった過疎の村、大曽倉で、ここまでの活動を展開されたことに感動してしまう。この村は駒ヶ根市の中でも標高1000mの山里にあり、勾配のある土地で田畑を耕し、花桃や山桜の美しい土地だ。人口は150人、高齢化率は32.7%(H16年調べ)。
社協のグループホームを後任に任せ、「大曽倉ふれんど」は、自分たちの村の高齢者施策を模索し、介護教室、ふれあいサロン、福祉マップづくりを進め、こんにゃくや福神漬けを加工し、アンケート調査を実施した。自然豊かな土地での暮らしを多くの人が素晴らしいと思っているが、高齢や一人暮らしとなった時に不便さ、後継者不足が深刻な課題となっていることがわかり、安心して暮らし続けられるしくみづくりを実感されたようだ。
そのアンケートを市や社協に届けた時に、デイサービスとしての拠点づくりが支援されることになった。拠点もグループホームの利用者だった女性、美女子さんの遺族からのご厚意で古い民家が無償貸与されることになり、田中康夫県政の「コモンズハウス」の補助金(500万円)と市の補助金(250万円)を得て、家のリフォームが進んだ。
H18年の春には、見違えるように変身した民家を使ったデイサービス「亀群」がスタート、丸3年が経過したところだ。印象的な名称「亀群」は美女子さんの家の屋号、以前お会いした美女子さんは彼岸で、どんなに喜んでいることだろうか。

古谷家から少し下ったところにある「亀群」はしゃれた外観と張り出したパーゴラが目を惹く。メンバーと夫、そして村の人たちの働きで改造も進化し、今年度は足元の安全性確保のためにウッドデッキを作ろうという計画があるらしい。目の前は、緩やかな段々畑、借りた畑に菜種を蒔いたそうだ。村の田植えも今週中に、はじまるだろう。
広い二間をテーブルとソファ、こたつが占める。足元には湯たんぽ、出入り口は2ヵ所あり、1ヵ所は目の前まで送迎の車を乗り入れることができる。トイレも2ヵ所、お風呂も広くはないが明るく使いやすそう。北側には事務所とベッドを置いた休息室、台所は広く、風除けをつけた外回りも勝手がいい。
当日は9時から利用者さん8人が次々と送迎の車で来所された。要介護の方が4人、介護予防事業の「ほのぼの倶楽部」を使う方が4人の合わせて8人。全員女性で、最高齢は90歳。要介護5の方もいて、後半はベッドでゆっくり休息を取られていた。
スタッフは8人だが、専従3人プラス介護士さん1人体制で月から金曜日まで開けている。この日は祝日の休業日だったが、お風呂に入れてほしい、との要望で開所し、五平餅会をすることになった。
五平餅は2升の米を炊き上げ、利用者のおばあちゃんたちと米をつぶし、熱々を平たい団子状に。ホットプレートで少し焼き、串にさして木の芽とくるみの味噌を塗り、炭火で炙る。お天気も上々で、外のテーブルでつくりながら、村のご馳走をみんなで食べる、笑う、おしゃべりする。こごみや葱坊主、たらの芽の天ぷらや常備菜、和え物などがずらりと並ぶ。初夏の山々を眺めながら、特別仕立てのデイサービスを楽しむ。
お腹がいっぱいになったら、部屋に移動し、唄を歌ったり、昔話をしたり。同じ村のおばあちゃんたちにも久々の出会いがあり、盛り上がる。
「またおいでね、今度はあたしの家に泊まるんだよ」と言われ、4時におばあちゃんたちを見送った。
いっぱい遊んだのは私の方だけれど、スタッフからは「即戦力になったわ」と言われ、くすぐったくありがたい。

前日は、古谷家で手づくりの野菜料理や常備菜をたっぷりご馳走になり、裏の山で桜を摘み、塩漬をつくった。お酒とよもやま話を楽しみ、広い屋敷でぐっすり眠った。
毎日のお2人の暮らしと行動が小さな村に灯りを灯し、市民権を得ていることを羨ましく嬉しく思う。(大塚恵美子)