「ニコモルーム」西東京市の不登校、ひきこもり対策の取組みを見学

2010年8月5日 12時42分 | カテゴリー: 子ども・教育

昨日、西東京の生活者ネットワークの議員の案内で、西東京の施策について話を伺う機会を得た。不登校対策等については6月議会の一般質問でスクールソーシャルワーカーの活用を提案したが、その後も各市の取組みに注目していたところだ。
内閣府の「ひきこもり実態調査」によると推計70万人、予備軍が155万人との報道が7月にあったばかりだが、東京都のモデル事業を行っている「ニコモルーム」の3年目の取組みについて学んだ。

西東京市不登校ひきこもり相談室「ニコモルーム」は、教育委員会教育部教育支援課がH20年から取組む東京都の「ひきこもりセーフティネットモデル事業」だ。西東京の他に、新宿区、足立区がNPOを活用した就労支援事業を行なっているが、「ニコモルーム」のような教育部が所管する事業はここだけとのこと。
廃校となった小学校施設を活用した「西原総合教育施設」は、会議室の他、地域包括支援センター、高齢者ミニデイサービス、障害者就労支援センター、心身障害者小規模作業所、シルバー人材センター、スポーツ振興施設、郷土資料室も入った複合施設で、ひっきりなしに利用者がやってくる。その3階にあるのが、「ニコモルーム」と不登校児童・生徒の適応指導教室「スキップ田無教室」だ。どちらも教育相談センターの一環として機能している。
都のモデル事業としてH20年12月に開設したが、事業内容は自治体に任され、3年間で1000万円が補助される時限的な事業ではある。西東京では、生活福祉課、子ども家庭支援センター、保健所などと横断的に構築されてきた「西東京相談ネットワーク」を活用し、従来の教育相談、不登校対策委員会、適応指導教室などの継続的な取組みのひとつとして位置づけられた「ニコモルーム」は多方面からきめ細かな支援体制を得て、不登校やひきこもりの未然防止に着眼した取組みを行なっている。支援対象者の把握は教育相談や関係機関からの紹介、中学からのつながりを重視されている。対象は18歳以下の不登校やひきこもりがちな当事者とその家族で、電話やメール、手紙や来所、家庭訪問による相談、自由に勉強したりパソコンが使える居場所「おいでよ、水曜の部屋」の利用や調理、作陶などのイベントに参加、交流ができる。H21年度の延べ相談件数は689件で、現在の支援申込者は25人、本人の定期来室は7人とのことだ。

支援の体制は、総括相談員、専門相談員(臨床心理士3人、元校長1人)と臨時職員の計6人の体制だ。楽しいニュースも発行されていて、7月にはドイツ料理を作ったり、秋川での野外活動、バーベキューなどのデイキャンプ(相談員含め28人が参加)の実施など創意工夫の取組みが充実し、何より支援のあり方、構造を明確に議論し、支援体制が構築されていることがわかる。利用者の生育歴、家庭の考え方、今後の希望などアセスメントを丁寧にはかり、支援の内容を選ぶ。この子にとってどうなのか、を常に念頭に置き、他の方法や機関につないだり、就労をフォローしたりと、その子その子の社会適応を促す支援をしていく。内側に力をつけることが「支援の終了」か、と伺う。22年度がモデル事業としての最終年度だが、成果も手ごたえも充分あり、今後の市独自の事業継続が期待される。ここで終わらせてしまう訳にはいかない。そうですよね、西東京市さん。
窓辺の緑、リラックスできるコーナー、イベント時の写真に見る笑顔、陶芸の窯などの備品も揃え、とても居心地のいい「ニコモルーム」だ。同じフロアに小中学生が通ってくる適応指導教室「スキップ教室」があり、体のバランスを整えほぐす指導員さんが中一の利用者と和気あいあいの取組みをしていた。この2つの事業は同じフロアにある連携だけではなく、人と人がつくり合う信頼のようなもの、安心に心を委ねられるしくみが共通していることが感じられ、この空気や体温がいいなあ、と去りがたい思いのした視察だった。

ソーシャルワークの活用に意義をもたれ、じっくりとお話を戴いた教育支援課の課長さん、係長さんから、相談しあえる関係をつくってきた東村山のT係長さんたちに、くれぐれもよろしく、と託り、これもまた嬉しいことだった。(大塚恵美子)