記念シンポ「子どもと向き合う地域の可能性」元気に終了

2010年11月1日 12時13分 | カテゴリー: まちづくり

台風の去った31日、自治体政策研究会10周年記念シンポジウムを開催。早稲田大の会場で準備した資料が足りなくなる参加者があり、嬉しい。
私は新参者なのだが、10年続いたこの研究会は議員、研究者、自治体職員がテーマにそって報告したり、議論したり、時々の課題に向かい合ってきた。
今回のテーマを「子どもと向き合う地域の可能性」とし、内輪だけの議論におわらず、様々な活動で子どもと向かい合ってきた方々を迎え、現場の風を共感し、これからの方向を見出した会となった。
子どもをめぐる課題は悩ましい。変化の著しい現実社会で、従来の制度だけでは立ちいかず、解決できないことばかり。世帯や家族の単位も、ライフスタイルも多様化し、制度は追いつかず、子どもをめぐる教育費などのコストは伸び悩む。とりまく地域の力も失われつつある。でも、あきらめることはたやすい、あちこちで、小さな灯りを点したい、それは何か。

基調講演は、久田邦明さん(神奈川大講師)の「子どもの居場所・地域の居場所」。久田さんは自治体の青少年問題協議会や社会教育委員として、また調査活動から、居場所づくりを糸口にした青少年施策を提案されている。地域社会に変化が訪れ、旧来の地域住民団体と市民活動団体の「新旧両タイプ」の団体が通じあう言葉をもてないこと、子どものための活動がおとなのつながりをつくり出すことなどがエピソードの中から浮かび上がる。地域のおとなの果たす役割とはなにか。地域の居場所づくりが地域社会の再生に結びつく方向性を示された。

つづくシンポジウムでは、赤沼登美子さん(駄菓子屋どんどん店主)が、子どもと向き合う日常を話された。子どもたちにとって駄菓子屋は経済について学ぶ一歩であり、人間関係も学んでいく。中学の職場研修で駄菓子屋を選んだ子がいたそうだ。地域には教科書もマニュアルもない、という言葉はほんとその通り。

鈴木裕子さん(テンミリオンハウスくるみの木施設長)たすけあいワーカーズどんぐりから「くるみの木」開設の変遷や高齢者も子ども連れも集う地域の居場所の実践を紹介された。

國分功一郎さん(高崎経済大講師)は、フランスで結婚、子どもが生まれ、今は5歳の娘さんと暮らすシングルファザー。フランスの出産、育児への一貫した支援体制について話された。フランスでは「婚外子」が50%を超すという、それは結婚という契約がなくとも子どもを生み、育てることが可能だから。制度だけでは解決できないこともある、でも日本のように制度がなくては話にならない、そうだよね。

そして私、大塚恵美子。私は当研究会のメンバーなので、少々固めの導入から。日本の「男社会モデル」の限界(年金モデルが象徴的)とそれに変わる個人単位の制度に乏しいこと、モデルを外れた時のシングルマザーという生き方への「ペナルティ」とも思える制度の貧しさ。負の連鎖が巻き込む子どもの貧困、OECD最下位の日本の教育費の低さ、家族政策ではないまるごと子どもに向かい合う政策の必要性、ひとりで生きられる新たなモデルの構築と、そしてひとりを支えられる地域のシステムが必要と話した。私自身のシングルマザーとしての気づきの出発点と地域の子ども文庫「くめがわ電車図書館」との出会い、子どもも大人になった人にも、「電車」の中で何をしてもしなくても、気づいたら傍らにある存在であるとまとめた。子どものための当初の目的はゆっくり増殖して地域のひとつの居場所となる。

制度だけでは人は生きられない。羽を休めに寄れる場所が必要。それを提供できるのはやはり人。地域にはいっぱい可能性が埋まっている。じんわり元気なシンパシーを共有できた会となった。(大塚恵美子)