樅の木の家 若林圭子のシャンソンを聴く

2011年5月6日 12時17分 | カテゴリー: 日々雑感

忘れがたいコンサートになりそう。5月5日、秋津のSさん邸「樅の木の家」で聴いた若林圭子のシャンソン。「綺麗なだけの唄はうたいたくない」そんな骨太のおんな、若林圭子、あっという間に魅了されてしまった。

多分あの伝説の若林圭子では?と思い、帰宅し紐解いてみた。そうだった、「渋谷ジァン・ジァン」で10年間シャンソンを唄った若林さんだったのだ。中村伸郎の「授業」などを観に通った地下の小劇場ジァン・ジァンでの彼女の唄を聴く機会はもてなかったが、今、ようやく出逢えたということ。よかった・・・逢えて。
力強い心映えがストレートに伝わる唄声だ。情熱、怒り、嘆き、さまざまな人生の局面をドラマチックに現す声だ。そして美しくニュアンスのあるフランス語。

「深い歌声はまっすぐに人の心に届く」とは彼女のことばだが、レオ・フェレの唄などを日本語に置き換えて唄う。彼女ならではことばの選び。唄の合間のお喋りも気取りがなく楽しい。「ミラボー橋」も、アポリネールとマリー・ローランサンの恋の行方が辛口の彼女の解釈で伝えられてさっぱりする。よく耳にするピアフの「愛の賛歌」だって、越路吹雪とは異なる解釈、真実の解釈なのだ、圧倒される。

若林圭子のすっくと立った美しい容姿、ストレートで強い歌声が響く会場は、樅の木でできたお家なのだ。以前よりSさんからお誘い戴いたすばらしい木と漆喰でできた無垢のお家。この会場が第2の主役だ。
4年前に建てられたこのお家は宮大工の系統の棟梁が構想3年(木を寝かして置いたり)、建て上がるまでに1年をかけた極上の名品だ。あらやるところ、床や壁、天井が樅の木や多摩の木でできている。よい木の香りがする、呼吸をする家は、フィタンチットが溢れているのか、森林浴をしている気分がする。合板、ベニヤを使わないほんまもんの家だ。恐れ入る。住まいの真髄を知る。簡単便利が恥ずかしくなる。
「また昼寝しにおいで」と邸主夫妻に誘われる。「はい、そうします」。

ストレートな思いに溢れた唄とお家。深呼吸して元気が出る。ああ、つかの間の休日はなんとも極上でしたっ!私を取り戻したよ!(大塚恵美子)