東京・森の学校

2011年7月21日 10時20分 | カテゴリー: 政治を変える


台風がまだやってこない15日に、あきる野市養沢の森林を訪ねた。林業家の池谷キワ子さんの山で、現在「東京・森の学校」のフィールドとして公開されている森林だ。
取組みを進めてきた「水政策」の一環として、水源林探索、川調査、神田川・隅田川などの海へと結ぶ水の流れと生態を考えてきた東京・生活者ネットワークの学習会で、参加者は40人弱。

暑い立川からバスで出発し、10時頃には、4グループに別れ、池谷さん、「東京・家づくり協議会」の長谷川さん、「森と人の会」代表の高橋さん、4人の森林インストラクターの方々のレクチャーとリードで、山に入る。
まず樹齢140年ほどのスギ、ヒノキの森が出迎えてくれる。夏の陽射しを遮る森は、水を含み、小さな渓流も流れ、涼しい。少し登ったところにある氏神様の祠にはアカゲラのあけた大きな穴が無数にある。全体に明るい森林のアップダウンを楽しみながら、小さな山野草も楽しむ。ジャノヒゲ、カントウカンアオイなど教わる。スズメバチも多いので注意!ということだったが、遭遇せずひと安心。
間伐・未間伐の比較林や枝打ちの見本などもあり、自然と森のあり方を学べるフィールドとなっている。斜面と湧水を活かした山葵田もつくられ、始終人の手が入り、管理の行き届いた山であることを実感する。炭焼き釜跡や新植の広葉樹林や広がる竹林など多様なプロフィールを見せる森。麓の小さな馬頭観音に往時が偲ばれる。お昼の休憩をはさみ、3時間程の山歩き、「森林・やまの時間」を体中で、五感で満喫する。
楽しさを味合わせて戴き、丁寧に山案内をして下さった池谷さん、長谷川さん、高橋さん、そしてインストラクターの皆さんに感謝!

東京都の森林面積は東京都面積の36%を占めていて、多摩地域が全体の60%を占めている。そのうち小規模な私有林が60%以上でほぼ人工林となっている。森林は、木材の生産とともに、水資源を育み、CO2を吸収・固定するなど、人間の暮らしに関りの深い有効な機能を有している。
しかし、製材用の素材生産量をみると、2008年で1万6000㎥となり、木材価格の低落と林業経営コストの上昇等により、70年頃をピークに減少の一途を辿る。2009年の木材自給率は27.8%だ。
つまり、木が使われないから森は駄目になる、ということだと長谷川さんはおっしゃる。値段が合わず、日本の風土に合った多様な木が売れない。価格の減少は、40年前の1/8〜1/10となり、物価指数を反映すると、なんと1/24とのことだ。安価な外材を使って、安直な家づくりが進み、日本の森林は人の手が充分入れられないまま、伐採放置や管理放棄など荒廃しつつある。

池谷さんの森林はスギ、ヒノキが中心だが、クヌギ、コナラなどもある豊かな森で、薪や炭づくりなども行なわれ山の暮らしの源だったが、60年森を育て、手入れの費用も出ない価格で、この10年間は木を売っていない、という。
森の生育には20年くらい人の手がかかせない。人間と同じだ。植林してはじめの7年間は毎年、下草刈りをする。そして枝打ち(そらあけ、という美しい名称で呼ばれる)、間伐と丁寧に手をかけ森林は育成される。人の手が入らないと、森は暗くなり、間伐されない森は下層植生が少なくなり、土壌流出が発生しやすくなり、災害にも弱く水を蓄える力も弱まってしまう。

国策により、開発公団設立、国有林生産増強計画の策定の後、逆に自然破壊、環境破壊につながり、その後、林業基本法制定により外国材の輸入全面自由化が進む。列島改造、リゾート開発のターゲットとなり翻弄される日本の森林。
ようやく、2009年に「森林・林業再生プラン」が公表され、2020年までに木材自給率50%をめざすそうだ・・・2011年は、国際森林年。ころころ変わる政策に翻弄されたのは森林だけではないかもしれないが、哀しい。
「森は海の恋人」、命はつながる、ということだ。(大塚恵美子)