たまには映画の話、本の話

2012年7月11日 01時55分 | カテゴリー: 本の楽しみ・図書館・学校図書館

私だって落ち込むことはあるんだ、山ほど。でも、歳を取ったので、いろんなことが程よく長続きしなくなった気がする、怒りもまた。あー原発だけは駄目だね、認められない。

さてと、映画の話ね。昨秋60歳に到達したので映画料金は毎日が1000円である、死ぬまで。それなのにこの1年、映画館にはいけたためしがない。でも、これは観たいな、夕方だったら時間捻出できそう、ということでBunkamuraへ。Vironで買ったシューケットを携えて「ミッドナイト・イン・パリ」ウッデイ・アレン監督作品。ああ、とてもいいお伽噺。
パリに魅せられたハリウッドの中年シナリオライター、婚約者と金持ちの親とパリへ。俗っぽく現実的な3人を尻目に、パリで作家生活を送りたいと決意を語るが相手にされず。独りで歩く真夜中のパリ、日付が変わると年代ものの車が横付けとなり、1920年代にタイムスリップを。フィッジェラルド夫妻、ヘミングウェイ、ピカソとそのミューズ、ダリ・・・夢にみたゴールデンエイジに紛れ込む。現実とのギャップの中で、ピカソのミューズと更に華やかな時代へとスリップし、彼女はその時代に生きることを選び、主人公は現実の世界に戻り、婚約者と別れる。開放感の中でセーヌに佇み、そこで再会したのが同じ感性を持つ古本屋の女性。彼は現実のパリで生きることを選ぶ。
パリの虜になる、このことを恥ずかしがらなくてもいいんだ。私はパリが好きなんだ。映画の初めやあちこちにパリが姿を現す。大好きなパリ。ヘミングウェイもピカソも笑える。私も彼らに遇いたくてモンマルトル界隈を歩き、カフェに入った日々がある。パリは移動祝祭日、ヘミングウェイの書いたとおり。私はヘミングウェイが好きではないが、移動祝祭日だけは好きだ。

それから、昨日読み終えた本の話。「舟を編む」三浦しをん作。余韻の残るいい本。中島京子の「小さいおうち」と共通するしあわせな読後感。言葉の海を渡る舟、それが辞書だ。長い月日と思いを結集した辞書づくり。主人公まじめさんの、これもお伽噺のような。でも「小さいおうち」も「舟を編む」も、大事にしなければならない何かをそっと差し出してくれる。人は独りでは生きられないし、共感も共有も愛することもできない。言葉を廻ってしあわせな関係が伝線していく。

このところ、悪意と亀裂と分断が身近に跋扈する。オマエはどっちなんだ、と対立の線を引きたがる。ひとつの目標をもち、一緒に前へ進もう、という社会でないことを痛感する。自分だけがよければいい、とする。そのためには人をうまくコントロールする。これが私を気落ちさせる。これが誰かをほくそえませる、としたら思うツボさ。
だから、元気な私を回復するために、よく寝るだけでなく、映画も本も旅も美術展も!
そうだ、明日はエルミタージュへ!(大塚恵美子)