「リトアニア原発国民投票」の報告を聞く

2012年10月21日 02時30分 | カテゴリー: 政治を変える

 

リトアニア原発国民投票の調査報告をする今井一さん

  1014日、リトアニア(ソビエトから独立したエストニア、ラトビアとのバルト三国)で実施された原発新設の是非を問う国民投票を調査に行った「みんなで決めよう『原発』国民投票」のメンバー9人が帰国後まもない19日に水道橋のYMCAで、疲れを見せない報告会を開いた。賛成、反対の結果を知るためではなく「国民投票をやることを国民はどう考えるのか」を知るために現地に赴いたのだ。

 今井一さん(いつだってパワフル過ぎる)たちによる報告で、パワーポイントで動画を駆使し、日本のマスコミが報道しないリアルな様子を伝えてくれた。
 
日立が輸出する沸騰水型軽水炉の原発建設をめぐっての国民投票だが、リトアニアはこれまで1991年から原発あるいはEU加盟などについて過去に10回の国民投票を実施してきた。
 
9人のメンバーは523人に取材、意識調査を行い、今回の国民投票自体に賛成か反対かを尋ねている。523人中賛成が56%、反対が44%で、反対理由として「衆愚になる可能性が大きい」との意見が多く、情報開示が不十分であることを指摘する人が多かったという。また、既に日立、GEと契約済みとなっていることから「早くやるべきだった」も反対の理由に挙げられている。
 
今回の国民投票は、総選挙と同時に行われることから国民投票に手が回らなかったのか選挙ポスターはあっても、国民投票に関するポスターはおろかキャンペーン合戦や公開討論会もなくTV7時間に限定されたPRがあっただけとのこと。

 投票当日は暖かな日和だったとのことだが静かな空気の中での国民投票の結果は、投票率52.52%で、原発建設賛成は35.15%、反対は64.85%と反対が60%を超えた。

 リトアニアの原発事情としては、EU加盟の条件としてソビエト時代に建設された原発の停止を求められ、現在廃炉の過程にある。しかし、リトアニアのエネルギー自立は遅れ65%のエネルギーをロシアなど他国に依存しているため、電気料金が著しく高い。ロシアからのエネルギー自立、経済的自立をはかるため新たな原発を建設したい、というのが国の言い分であり、2009年には国民の73%が原発建設を望んでいたとの世論調査の結果がある。今回は反対が60%を超えたが、この逆転は福島第一原発の事故にあると、今井さんは取材で再確認されたようだ。取材に応じた全ての人がフクイチの事故を知っていたという。

 しかしだ、この後がいけない。同時に行われた総選挙では定数141のところ18の政党が乱立し、選挙結果は野党だった労働党が1位で連立政権が組まれるようだ。この労働党は選挙後に、原発国民投票を実施するには情報が十分ではなかったとして、結果について「国民の助言に過ぎない」とし、「2回目の国民投票を実施する可能性も考えられる」としているそうだ。これには驚く。こんなことってあるのか。
 
確かに諮問型の国民投票に拘束力はない。が、60%を超す国民の声を無視できるのか?1028日には小選挙区の選挙が行われるそうでこちらも注目だ。

 新たなヴィサギナス原発建設予定地は廃炉作業が進むイグナリナ原発の隣の空き地だそうだ。映像では、廃炉途中の原発は日本のように厳重に隔離されている様子はなく火力発電所、といった感じにみえる。
 
映像でみると取材を受けた人たちは誰もが意思をもっていて賛成も反対も、理由をちゃんと言う。家族でも友人でも考えは別々であり、ひとりひとりの意思が明快だ。賛成反対で対立するということもない。このあたり日本とはだいぶ違う。

 先日、静岡県議会が浜岡原発住民投票条例を反対多数で否決した。大阪、東京とつづいての否決。投票の機会すら設定できないとは。
 
日本では原発国民投票、自分のこととして考えてはいけないのか?フクイチの事故の当事者が「知らない」では済まない話なのだが。(大塚恵美子)