ドイツ・デンマーク自然エネルギー・スタディツアー ハンブルグ編

2013年3月30日 06時55分 | カテゴリー: 政治を変える

かつて廃棄物処分場だった「エネルギーの丘」で

ベルリン編につづき、ドイツ、ハンブルグへ2月4日から6日までの2泊の行程の視察を報告。夜間に到着したホテルは、高い時計台のあるハンブルグ駅前。粉雪が舞い幻想的な雰囲気。多くの人が行き来し、離発着の列車の多いハンブルグ駅は活気があり、海運で栄えた街は運河沿いに豪壮なレンガ建ての建築物が並ぶ。運河に面したレストランでとった夕食も格別なものだった。正式名称を自由ハンザ都市ハンブルグという自治意識の強い都市で市そのものが一つの州をなしている。美しい街並みの、また訪ねてみたい街だ。

●公共電力公社・ハンブルグエネルギー
2009年に設立されたハンブルグ州政府の公社であるハンブルグエネルギーは、風力と太陽光、コジェネからの電力を年間約3億Kwh販売し、エネルギー製造に直接影響力をもつ。顧客は10万人(ハンブルグ市民174万人)を超え、市内第2位の電力事業所となっている。石炭火力と原発を使わないハンブルグエネルギーのCO2削減目標は2020年までに2006年度比で40%削減となっている。目標は供給電力量の半分を自前で製造することだが、まだ半分に達していない。今稼働している排水浄化センターに設置された風力と「エネルギーの丘」の大型風車が3基あり、「エネルギーの丘」では太陽光発電も行っている。今後は、ハンブルグ港湾内に2.5メガW×4基の風車(風力)の建設を行い、バイオマス発電所と地熱発電所の建設計画を持ち、自立した事業展開、安定供給をめざす。市民が2500ユーロを10回投資できる仕組みをもち、10年間6%の利子をつけるが、欧州における経済不況の波で今後は難しいとの話ではあった。

●エネルギーの丘
ゲオルグスベーダー地区の廃棄物処分場の山だった面積45ha、高さ40mの地域にとってマイナスな廃棄物の丘を、再生可能エネルギーの丘へと生まれ変わらせた。第2次大戦後の瓦礫や家庭ゴミ、有害な産業廃棄物からなるかつての山からはダイオキシンが検出され、1979年以降、ゴミの受け入れを禁止し処分場は閉鎖された。その後、巨額をかけて、廃棄物と底土の密閉処理を行い汚染物質を含む水が漏れ出ないよう丘全体を傘のようにビニールシートで被い表土を盛っている。90年代から2004年までに環境省が4基の風車を建て、2011年に4基のうち3基を大型の風車に置き換え、南斜面に10,000㎡の太陽光パネルを設置しハンブルグエネルギーの運営により4000世帯分の年間の電力を生産する。
ハンブルグエネルギーのレクチャーを受けたインフォメーションセンターが丘の麓に2011年に開設され、年間3500人もの見学者が訪れ、環境学習の拠点となっている。エネルギーの丘は現在も有毒ガスが出るため自由な立ち入りはできないが、今回は許可が出て、丘の視察をすることができた。現在、丘を巡る遊歩道を建設中で、身近に風力の風車などの再生可能エネルギーの実態を見ながら、ハンブルグ港などの眺望が楽しめる市民の憩いの場となりそうだ。

 

ハンブルグ駅構内の紅茶店のマダム

●ハンブルグ手工業会議所
手工業会議所とは、19世紀末から公益法人として認めらた「職人の同業者組合」で、国内に10か所あり、ハンブルグ手工業会議所には約15,000の企業と129,000人の会員がいて、職人にさまざまなサービスを提供し、マイスター制度のための試験や後継者の育成、教育などにあたっている。2008年に建てられたハンブルグ手工業会議所の建物内に展示されている省エネ、断熱、蓄熱、余熱活用に関する建材や工法、太陽光発電パネル等についてのレクチャーを受けた。ドイツでは2009年の「省エネ令による基準」が設けられ、新築のみならず改築でもこの基準を満たさなければならない。2010年には「新しいエネルギー政策」が採択され、2040年にはCO2排出量を1990年比で70%削減することになった。この実現のために「建物断熱の改善」は欠かせないものとなっている。ドイツのエネルギーシフトを支え、自然エネルギー産業への手工業会議所の果たす役割は大きいと感じた。

 

グリーンピース・エナジーの若いスタッフたち

●グリーンピース・エナジー
世界40か国で活動するNGOグリーンピースのドイツ支部が1998年に電力会社グリーンピース・エナジーを設立。きっかけは、ドイツの電力市場自由化、再生可能エネルギー法によって消費者が電力会社を選べるようになり、「再生可能エネルギーがほしい」という声に応え活動を開始した。自然エネルギーで発電する事業者が増え、南部のシェーナウは日本でもよく知られているし、こうしたグリーンエネルギー(自然エネルギー)の電力会社を含め選択可能な事業所数は110社に及ぶという。市民は「電力比較サイト」などで、どんな電気を使いたいか自由に比べて選ぶことができる。
2001年に、子会社であるプラネット・エナジー発電所を設立し、186人だった顧客は11万人となった。分担金を出資する協同組合の形をとり組合員は22,000人に成長し、顧客5人のうちひとりが組合員となっている。協同組合で大事なことは出資口数にかかわらず、ひとり1票の投票権を平等にもつことであり、4年に一度、50人の代表者を選ぶ。ドイツのエネルギー協同組合の数は2011年に586に達している。
プラネット・エナジーはドイツ北部で風力発電8か所、南部で3か所の太陽光発電を整備してきた。発電能力は54メガW(うち風力は48メガW)あり、今後5年で5つのプロジェクト(43メガW)を計画している。ロビィ活動やキャンペーン活動で影響力をもつグリーンピース・エナジーが今後深めたいこととして風力ガスの話を伺った。風力発電の電気でガスを製造するやり方であり、水から酸素と水素を分離させ、水素を天然ガスの配管に5%ほど混ぜる方法で、ガスの顧客は7,000人となっている。
グリーンピースの活動の原点である原発反対運動が今も生きていて、再生可能エネルギーの選択につながっている。政治的判断には時間がかかるため、日本でも早く動き出すことが大事、とエールを送られる。(大塚恵美子)