ドイツ・デンマーク自然エネルギー・スタディツアー デンマーク編

2013年3月30日 08時41分 | カテゴリー: 政治を変える

サムソ島にわたるフェリー

2月6日から9日までのスタディツアーの終盤は、1985年に原発の導入を廃止したデンマークへ。再生可能エネルギー100%の取組みを実践するデンマークのエネルギーアイランド・サムソ島、首都のコペンハーゲンを訪問した。同行の通訳はデンマーク・ロラン島在住のライター、ジャーナリストであるニールセン北村朋子さん。最終日の2時間は、それぞれが自由時間を楽しみ、私は国立歴史博物館で膨大なデンマークの歴史の片鱗に触れることができた。多彩な仲間に恵まれたスタディツアーに参加できたことを感謝し、地域のエネルギーの地産地消の取組み、「エネルギーデモクラシー」の実現に向けた活動をこれまで以上に取組んでいきたいと思う。 

 

サムソエネルギーアカデミーでプロジェクトリーダーのミゲルさんと通訳のニールセン北村さん

●サムソエネルギーアカデミー
風力発電を中心とした代替エネルギーへの移行を模索してきた政府は1997年に島における自然エネルギー導入計画を公募し、それに参加したサムソ島は、エネルギー自給100%をめざすモデル地域として取組みを始め、10年をかけて実現させた。デンマークで3番目に小さい人口4000人のサムソ島へはコペンハーゲンから一日2便のフェリーで渡った。主要産業はジャガイモ栽培などの農業と観光で、伝統的家屋が保存された美しい地域だ。2030年までにフェリーや自動車、農業機械も含め化石燃料ゼロをめざす。
2006年に建設された低エネルギーハウスであるサムソエネルギーアカデミーでレクチャーを受ける。100㎡の太陽光パネル、温水パネルを使用し、バイキングの歴史からヒントを得た仕切りのない構造や蓄熱効果を利用した壁など低エネルギーに徹するしくみが機能的かつ美しい。島内では1000Kwの風力発電が11基稼働し、サムソ島南部沖合3.5㎞水深20mの洋上の風力発電10基は圧倒的な存在感を見せ、7500万Kwhの電力を供給し、余剰電力は海底ケーブルを通じ島外へ売電されている。

サムソ島の木質チップを使った地域熱供給プラント

地域熱供給プラントが島内4か所で稼働し、熱需要の75%を賄っている。藁によるものと木質チップ+太陽熱パネルによる地域熱供給が行われている現場も視察した。藁は農家から購入し、燃焼灰は農地に戻すことで肥料も削減できるなど一貫した再生可能なシステムとなっている。
あちらこちらに見える風車、フェリーから間近に見た洋上風車群は忘れ難い風景となる。島の暮らしはカーテンを開け放った窓辺の燭台などに美しい暮らしが見て取れる。ペンション風のホテルでの昼ごはんのオープンサンドイッチも思い出深い。

 

 

サムソ島沖の10基の風力発電風車群 圧巻

●コペンハーゲン風力発電組合
1500年代の歴史的建造物の市庁舎にほど近いデンマークエネルギー環境事務所を訪ね、洋上風力の仕掛け人で事務局長のソーレンセン氏から風車協同組合について伺った。組合員は風車株を購入して出資する。口数に関わらず議決権はひとり1票。デンマークでは風力は元が取れるということが一般的になっていて、銀行も風車株を購入する資金を容易に貸してくれる。そのため、高齢者でも学生でも誰でもオーナーになれ、協同組合方式による市民参加のオーナーシップによって再生可能エネルギーへの関心が高まってきた。参加のハードルをより下げるために、25m以上の風車を建てる時は近隣地域4.5㎞範囲の市民をオーナーの20%の割合で参加させる法整備もされた。2年任期でを選出された5~7人の理事はボランティアだが、故障やトラブルに対応するため点検やメンテナンスをする人を必ず雇っている。
風車協同組合プロジェクトの風車は40基あり、そのうち、コペンハーゲン沖水深20mのミドルグロン風車群は、1995年に電力会社によって27基の建設計画が立てられ、風力協同組合化の後、情報公開を求める市民の声に対応し、市民公聴会を経て、景観に配慮した20基1列の計画へと改められた。オーナーとなって間近にある市民風車は愛着と関心がわき、稼働の行方が気にかかるようになり、騒音などの苦情は姿を消していく。実際に間近で視察することはできなかったが、遠方の高所から眺める洋上風車群は圧倒的な景観を示す。

サムソ島ホテルでのオープンサンドの昼食

今後の課題としては、デンマークは2020年には風力発電で電力消費の50%を、2030年には全体の3分の2に引き上げる計画がある。洋上に1,000メガW、陸上に6つの小さな風力パークで500メガW、古い風力パークの建替えで500メガWを増やす計画だ。また2050年までに化石燃料をゼロにする目標を掲げており、今年、2か所の火力発電所を閉鎖した。協同組合による市民風車は、丁寧な情報公開と説明、そして情熱をシェアすることに成功の鍵がある、とソーレンセン氏は語ってくれた。(大塚恵美子)