子どもの本屋トロルの「伊藤比呂美講演会」は12日

2013年5月8日 13時26分 | カテゴリー: 政治を変える

 

子どもの本屋トロルの店主れんちゃんと謎のオトコ

連休前後に読んだ本の数々。珍しく発作的に発売日に買ってしまった村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。同じ村上ならば龍の方が断然好き、春樹のスノッブでくだくだと気取った「ノルウェイの森」が特に嫌い、と以前も書いたかな?でも、「多崎つくる」は誰もが封印して振り返らないことにしておいた傷のような時間をゆっくりと肯定する優しさに溢れている感じがする。なかったことにする必要はないのだ。透明感があって好きかも。

並行して読んでいたのが山田詠美の「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」最初から引き込まれてしまう。やはりうまいな、というか感性は全く異なるが、異質でない肌合い、体温を感じるのが山田詠美だ。設定がまさか、というところだが、書きたかったことが染み込んでくる。「ママ」を軸としたそれぞれの距離感から「自分」が見えてくるオムニバス。山田作品の全部が好きでもなく、ああ面倒くさい、というものの方が多いが、なんといっても好きな一冊が「蝶々の纏足」だ。「明日死ぬかも」もいい。

それから、忘れた頃に図書館から回ってきた(リクエストして1年近くかかったのでは?)「湿地」アイスランドのアーナルデュルの推理小説。私はミステリ、犯罪小説の中でも刑事ものが好きで、パリのシムノンのメグレ刑事、スウェーデンのマルティンベック刑事が忘れがたい。比較的最近のものでは、刑事ものではないが、ロシアの内実に踏み込むトム・ロブ・スミスの「チャイルド44」「グラーグ57」は戦慄もので、ロシアには決して行くまい、との決意まで固くした。救いがないようなどんよりと重く暗い北欧あたりのものがどうして好きなのだろうか。人間が見えるからか。パトリシア・コーンウェルの検死官シリーズも出れば買って読んだが、アメリカものはどこか肌に合わないようだ。人間像が薄っぺらく、感情が重ね合わせられないのかも。さて、「湿地」、厳しい環境や北欧社会の抱える課題などと不可分のその土地に生きる人間の弱さも強さも描き出す。過去を追及する刑事側の物語がまた好きだ。

そして詩人・伊藤比呂美の「閉経記」。これを書こうとしたのに、ずんずん脱線してしまった。ページをめくるごとに痛快、そうなんだよね、と共感のるつぼにはまる。軽妙であけっぴろげな「漢・おんな」から「漢」への元気百倍のメッセージだ。体の変化、家族の縮小、わあわあ、どうしよう!と嘆き、のた打ち回り、たくさんの無駄をし、正気に戻るとよもや確実に老いていく私がいる、それでも、自らの肉体とともに「しゃあない死ぬまで生きたるか」といった今のあっけらかんに近い心情にぴったりと合う。佐野洋子に感じた思いとやや近いか。

あってみたいよね、伊藤比呂美、どうしよう!東村山に来るんだって!
子どもの本だけでない、嬉しい出会いの本がある本屋「子どもの本屋トロル」さんが呼ぶんだよ、なんて大盤振る舞いなの!

伊藤比呂美講演会「絵本と子育てそして今、私たちを語る」
512日(日)一般的には母の日か、その夜の7時から東村山西口サンパルネで。参加費1000円、高校生500円。お問合せは主催のトロル・0423925304へ。http://www.troll-ren.jp/index.html

ねえ、行きたいでしょ?行くよね!(大塚恵美子)