伊万里市民図書館・武雄市図書館 その1

2014年9月17日 06時57分 | カテゴリー: 政治を変える

7月に、佐賀県にある2つの図書館を生活者ネットワークの仲間とともに視察をしたので、遅ればせながら報告を。

伊万里市民図書館は「生活のなかの道具」
各地の図書館の中でも大好きな図書館のひとつがここなので、再訪できたことが嬉しい。19年前に誕生し、今なお滞在型図書館の居心地のよさを、ここかしこに見つけることができた。
今回は、市民図書館準備室に主要メンバーとしてかかわり、現在4代目の館長である古瀬さんから、思いのあふれるお話しを伺うことができた。(伊万里市人口57000人)

この図書館の大きな特徴ナンバー1は市民との協働が息づいていることだ。まさに建設時の目標「伊万里をつくり・市民とともに育つ・市民の図書館」がスローガンでなく「市民の知的自由をまもる図書館」としての実質を支えている。職員体制は18人(職員6人・うち司書4人、嘱託司書8人、臨職4人)だが、カウンター外の作業、奉仕に「図書館フレンズいまり」(メンバー登録400人)と図書館ボランティア80人がさまざまな分野で力を発揮しているようだ。
新図書館の建設には市民の参加による図書館づくりの塾を開催し、設計図もオープンにし、市民の拠点として活動しやすい具体的な意見をとりあげてきた。起工式のあった2月には、ぜんざいを食べ祝うという行事(お誕生日会)が定着し、7月には「☆(ほし)まつり」という図書館の開館記念日を毎年市民の実行委員会形式で開いてきたそうで、今年も4000人が参加されたとのこと。

図書館協会建築賞を受賞している図書館は3階構造(2階3階はオープンな閉架書庫)だが、1階のメイン開架フロアは、かなり広く明るい吹き抜けとなっていて、書架が低いため全体が見渡せ、子どものフロアにはグランドピアノと「いすの木」というシンボルツリーがそびえる。壁には「かいじゅうたちのいるところ」や「ぐりとぐら」の市民手づくりタペストリーが存在感をもつ。
子どものフロアには、ご当地らしい「登り窯」を模したおはなしの部屋がある。階段状の部屋の天井は明かりをけすとプラネタリウムのような星空がひろがる。おはなしの部屋自体がファンタジーのようである。子どものフロアを卒業した子どもたちには奥まった場所にヤングアダルトのコーナーがある。

書架のサイン・ブックエンドは陶板で伊万里焼の文様が写されている。書架の間にもさりげなく閲覧席があり、畳のスペースや奥まった部屋など、お気に入りの場所を見つけることができる。書架は本の顔がみえるような特注の書棚で、本が手に取りやすく、ブラウジングが楽しめる。

私がとりわけ好きなのは「伊万里学」の小部屋だ、本の間で一日中でもいたいものだ。

そのほか、市民が活動する部屋や、展示室、障害者団体運営のカフェスペース、可動式の椅子が備わったメディアホールや庭などが迷路のようにつながる。

図書館の特徴のひとつに「ビジネス支援」がある。専門性ある蓄積されたレファレンスの力と資料を駆使し、国会図書館のデジタル化資料送信サービスを使うこともでき、図書館で学び、解決し、起業、事業化をされた利用者の事例を紹介して戴いた。誰もが平等に自由に情報を入手でき、サポートを惜しまない図書館の真骨頂ともいえる。

子ども読書支援にも力を入れている。学校での朝の読書活動に加え、「家読(うちどく)」の実践地域として注目を集め、今までに2回の「子ども読書活動優秀実践図書館・文部科学大臣表彰」を受賞している。

蔵書収容能力は50万冊で1階の開架には16万冊が並ぶ。資料費は10年間3000万円できたが、現在は1800万円、臨界点だと館長はおっしゃっていた。(東村山市は蔵書数754000冊、H26年度資料費3920万円)

このところ武雄市図書館と併せての視察が増え25年度は900人だという。
市民とともに歩み、市民の知る権利、自由を保障し、誰にでも開かれた居心地のよい知的インフラの拠点としての成長がもっと期待できる図書館であることを再確認できた、嬉しい。2009年には市として「図書館に指定管理者を導入しない」ことを決めている。
伊万里のまちをつくる、そのために人を育てる、そのための図書館、健在。(大塚恵美子)