電気を選んで未来を変えよう!電力小売りの自由化はじまる

2016年2月4日 08時36分 | カテゴリー: 政治を変える

戦後、東京電力など9つの電力事業者が発送電も販売も独占してきた。1995年からは独立系発電事業者が、2005年からはPPS(特定規模電気事業者)が高圧ユーザー向けに電気を売れるようになり、今年4月から一般消費者も電力事業者を選べる全面自由化がはじまる。
EU指令により、既に電力自由化、発送電分離が行われ、再生可能エネルギーの比率を高めているEUのうち、スペイン、ドイツの先駆的な取組みを学ぶため、11月に「市民電力連絡会」のスタディツアーに参加した。 

●風力発電が再エネ普及のカギを握る@マドリッド

 古都マドリッドは紅葉が美しく歴史的建造物に映える。竹村英明団長以下10人のメンバーは日本における自由化運用との比較、検討に活かすべく意欲満々。
初日は独占的系統運用会社「REE」を訪問。事業機密に関するセキュリティが厳しく、電力需給のコントロールを行っている「再生可能エネルギー制御センター」は写真撮影禁止。スペインの原発は8基。国際的電力系統はフランスとポルトガルのみ。2009年のEU指令により各国は再生可能エネルギーの目標や計画を定めていて、スペインは2013年に36.4%を達成、そのうち風力発電が20.9%を占めている。
再生エネルギーの内訳は、全土800の風車がある風力発電が75.8%、太陽光5.8%、水力17.9%、太陽熱0.4%だ。風力発電を最大限に送電網に入れる運転を行い、石油、天然ガスなどの余力でバックアップする。リアルタイムに各発電所の出力を把握し気象予測やシュミレーションによって発電の需給をコントロールする最先端だ。 

FIT/再エネ固定価格買取制度からの展開@ハンブルグ、ミュンヘン 

ドイツはハンブルグから視察、ヒアリングを開始。ハンザ同盟、海運業で栄え運河に囲まれた美しい街ハンブルグは2013年に次いで2度目の訪問となる。
脱原発をかかげ原発17基を2022年に原発ゼロとするドイツは再生可能エネルギー推進に力を入れるが、まだ27.3%にとどまる。FIT(固定価格買取制度)電源は送電会社買取りとなっていてFITは価格を下げ、見直しに入り、EEXという取引所を通すしくみに転換しつつある。EEXを通すと電力が混ざり、再エネ割合は不明に。エネルギーの調達源がわかるのは直接契約(GoOという発電源証書を使う)のみとなる。市民電力各社はFITによらず「環境価値」を明確にした販売を展開している。再エネの事業者は3000社あり、4000万世帯のうち800万世帯が再エネを使っている。訪問した「グリーンピースエナジー」は「プラネットエナジー」という発電会社をつくり、水力90%、風力10%の電力を売り、顧客は11万世帯に。
ミュンヘンでは、市と小規模市民電力会社が協働し、街なかの河川で水力発電所を実現させた現場を視察し、ドイツアルプスを臨む100%自然エネルギー自給自足、雇用も創出する人口900人の美しきレッテンバッハ村を訪ねた。
EUでは持続可能な自然エネルギーの大量導入を需給調整し、系統運用の工夫で基幹電源に位置付けていることがわかる。 

●電気を選んで未来を変えよう!

 1月中に「電力の小売り営業に関する指針」についてのパブコメが終了となり、4月に向けて具体的な小売り自由化の動きが加速することになる。電源構成の表示の義務化もなく、高額な託送料金、電力取引市場の価格により再エネの電気代は高くなる、など課題は山積したままだ。システム改革、電力自由化のしくみやどのように電力会社を選び切り替えるのか、政府から情報提供も説明もされていない。

昨夏、全国のピーク時の電力の1割を自然エネルギーが供給している。原発でいえば10数基分に当たるのだ。私たちはCO2排出を考慮し自由に電気を選べるようになるのだろうか? 市民団体が「電気を選んで社会を変えよう」と、100団体ある自然エネルギーの電力会社(生活クラブエナジー、エナジーグリーン、みんな電力など)を応援し比較検討できる情報提供「パワーシフトキャンペーン」を始めている。エネルギーを変える力は、消費者にあり!(大塚恵美子)